空の王 (単行本)
空の王 (単行本) / 感想・レビュー
のぶ
佐々木譲さんの「ベルリン飛行指令」と船戸与一さんの「満州国演義」を合わせたような印象を受けた。主人公は新聞社の飛行士、鷲尾順之介。舞台は日中戦争勃発直前の満州。ある日、ライバル社の行方不明機を発見した順之介は、突如現れた男から銃を突きつけられる。内蒙古で「荷物」を引き取り、空輸しろと命令される。その後、久高という謎の日本人と出会い行動を共にする。本書はラストを除くと、タイトルから想像するほど航空シーンは多くない。その分最後は盛り上がった。数ある戦記の一作として全体に良くまとまった作品だった。
2021/09/09
Comit
市立図書~著者の祖父が遺した資料を元に“綏遠事件“と呼ばれる内蒙古独立戦争を生きた1人の飛行士を描いた壮大な航空戦記~大義、信義、正義、忠義…己の“義”はどこにある。外蒙古、満州国、中華民国、周囲を囲まれた内蒙古が進むべき道は…国家間の謀略と、それぞれの思惑に翻弄され、一縷の望みも潰えそうな時に、自分を突き動かしたのは、空を飛びたいという思いのみ。戦争を利用するもの、止めようとするもの、それぞれの“義”に従い、命を賭して戦う(*´д`*)ハァ…著者初読、大作でした✨
2021/08/24
雅
昭和11年を舞台とした冒険小説。浪漫を感じる大作だった。
2021/07/05
とろとろ
1936年当時、新聞社の飛行士であった主人公の冒険活劇。朝日新聞航空部の飛行士新野百三郎は実在の人物で著者の祖父とな。テンポよく次々と事件が起こるので、これ全部後半の話の伏線なんだろうと思った通りインディジョーンズみたいな。日中戦争(1937年7月)前の話。ここでも歴史の解釈はいろいろ…。少々長くて、少々疲れた。ついでに日本の近代史は、満州事変(1931)、上海事変(1932年1月)、五・一五事件(1932年5月)、二・二六事件(1936年2月)など、この頃の歴史を復習するよい機会だった(そっち?)。
2021/09/06
ヘラジカ
国家同士の思惑、軍の策謀、小さき者たちの大義が互いにぶつかり合う熱い冒険小説。日中戦争と第二次大戦を背後に控えた物語の構造は、適度な複雑さと強度を持ち、キャラクターの躍動を効果的に支えている。要所要所のアクションも分かりやすくテンポも良い。前半はやや強引に感じられる展開に面食らったが、後半は細かいことを吹っ飛ばすくらいの怒涛の勢い、命を賭して戦う人々の生き様に痺れた。銃撃戦あり、肉弾戦あり、もちろん空中戦ありの快作冒険エンターテイメント。ほんのりと味付けされたロマンスもエンディングで輝いていた。
2021/05/24
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