遅咲きの男 (単行本)
遅咲きの男 (単行本) / 感想・レビュー
starbro
中国籍唯一のノーベル文学賞受賞作家、莫言、初読です。 ノーベル賞受賞後の最新短篇集、半分私小説の日本で言えば昭和の匂いがする泥臭い作品集でした。オススメは表題作「遅咲きの男」&「天下太平」&「明眸皓歯」です。 https://www.chuko.co.jp/tanko/2021/06/005444.html
2021/07/29
ヒデミン@もも
どうしてこの本を手に取ったのかわからない。この表紙のスッポンに惹かれたのか。莫言さん、初読み。読み始めると私が知らない中国の話なのに何故か懐かしい。吉田富夫さんの役が秀逸なのか、自然と物語に入り込める。
2021/07/25
ちゃっぴー
莫言さんがノーベル文学賞を受賞したとき、中国国内では賞賛の声ばかりではなく、一番吹き出たのは、やっかみによる誹謗中傷だったそうで。それに対しもの言う手立ては作品として書いて残すこと。そのような短編集が入っている。ノーベル賞受賞の肩書きを利用しようてインチキ観光で儲けようとする人々。ネットへのデマの書込みで儲けを企む参謀殿。 「遅咲きの男」「明眸皓歯」「天下太平」がよかった。ー「ネットでは義道徳は言わないで無恥で残酷であればあるほどいいのよ」まっこと恐か!
2021/10/08
mawaji
「蛙鳴」以来の莫言さん。ノーベル賞受賞後の短編集ということで、賞賛の声とともに眼紅病に襲われた状況をユーモアを交えて綴られていますが、彼の地で文筆活動を続ける苦労話というよりは強いられる不自由を「弁当箱」対応で切り抜ける物語を読むと、柔軟さとしたたかさを持ち合わせた優れた作家さんなのだという印象をより強く持ちました。「おのれの悪に気づいている人間の心には良心というものがなお残っているからこそおのれの悪がわかるけど、おのれの悪に気づかぬ悪人はおのれが正しいとしか思わず、いつまでも他人を憎み、罵るんですね。」
2022/01/08
フランソワーズ
中国の変革期の前後で、人々の暮らし・人生が180度変わる悲喜劇が描かれる。そんな激動の時代を生きる人たちだからこその、破天荒さ、不羈さ、そして時に下卑た彼らは、毒たっぷりのユーモアがあり、警句めいた言葉を吐く(これを「大陸的」というのでしょうか)。文章は軽妙で、慷慨な語り口のようでありながら、一方で人の営為は手堅くしっかりと描写している(特に農村での情景を描いているところは、良いです)。お気に入りは、表題作と『左鎌』、『明眸皓歯』です。
2021/07/17
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