思想の流儀と原則 (単行本)
思想の流儀と原則 (単行本) / 感想・レビュー
壱萬参仟縁
新刊棚より。鶴見俊輔「根もとからの民主主義」は1960年7月『思想の科学』初出。科学に背をむける思想は失敗する。同時に、科学の学習が思想をつくることは、思想を積極的な生活形態、事業形態から切りはなしてしまう(15頁)。この高度経済成長、安保闘争の時代、民主主義をどう創るか、令和日本の課題でもある。また、鶴見氏は、戦時中はすごくこわかった。信じていない戦争目的のために死んだらやりきれない。安保のときは、真でもいいと思っていたと吐露する(201頁)。市民運動が大衆の政治的無関心を叱るのは反対(268頁)。
2022/08/04
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鶴見の『限界芸術論』と吉本の『憂国の文学者たちに』を読んだとき、両者の“いま、ここ”、ボトムアップの運動を賞揚する態度に近しいものを感じたため、本作に至った。しかし、こちらの予想は裏切られたと言えるほどに、両者は立場の隔たりがあらわとなる論争を繰り広げていた。その隔たりは、鶴見の言葉をそのまま借りれば、“当事者の論理”と“傍観者の論理”あるいは、思想家・詩人と学者上がりの違いと表せるだろうか。8.15前に読了できて良かった。
2022/08/14
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