動物農園 (単行本)
動物農園 (単行本) / 感想・レビュー
旅するランナー
とても恐ろしい小説。家畜たちが革命により乗っ取った農場を運営する姿を擬人化して描く。ソ連による恐怖政治のようであり、民主主義が全体主義や権威主義へと陥る危険性への警鐘のようでもある。革命の裏切り。自由という名の束縛。人間とは、こういう管理社会を生み出す生き物なんでしょうか。日本の社畜にも思えて、他人事ではないです。シュヴァンクマイエル風のヒグチユウコ画も不気味さを高めています。
2022/10/28
buchipanda3
オーウェルによる寓話小説。別の訳本で既読だが、ヒグチユウコさんの挿絵に惹かれて。短い話なので中身を覚えていたが、読んでいる間はやはり心をざわつかされた。動物たちは以前よりも辛い状況になっても、目の前の厳しさで精一杯のため思考が止まってしまう。それは牡豚のナポレオンたちの狡猾さによるものだが、傍から見ていて動物たちにもどかしさも感じる。でも当事者になると案外陥りやすいとも思えた。もし一冊の本があれば、読書という行為が出来ればきっと。それがこの本なのだ。終盤、パッと目に飛び込んできたあの挿画に思わず声が出た。
2022/10/28
☆よいこ
ジョージ・オーウェル『動物農園』(ANIMAL FARM)の新装丁。ヒグチユウコのイラストが素晴らしい▽「旧農園」のジョーンズ氏が怠け者で空腹に耐えかねた動物たちが反旗を翻し、人間たちを追い出して「動物農園」を作った。志の高かった老豚の遺言に従い、七誡を掲げる。一、二本足で立つものはすべて敵である。二、四本足のもの、あるいは羽があるものは友達である。三、動物は服を着てはならない。四、動物は寝台に寝てはならない。五、動物は他の動物を殺してはならない。七、すべての動物は平等である▽支配の構造がわかる。良本
2022/11/21
(C17H26O4)
書店で表紙がぱっと目に留まった。『動物農場』(この本では「農園」)×ヒグチユウコ。意外性ある組み合わせに思わず即買い。装幀もいい。言わずと知れたおとぎばなしの体をとったスターリン主義、全体主義批判の本。もともと読みやすいところに、ヒグチさんの絵をたくさん添えて、また、解説をつけていないため解釈の自由度が高く「おとぎばなし」としての普遍性を前面に打ち出しているように感じた。豚のナポレオン(スターリンがモデル)が二本足で立っている仰天の場面の絵はなかなかのインパクト。
2022/09/28
Take@磨穿鉄靴
何とも後味の悪いお話。これはいろんな組織の構造に当てはまる。宗教団体や国家レベルでも当てはまりそう。例えばアジアの某J国がアメリカの庇護から抜け出したとして。それ自体は自立した独立で悪くない。しかし後ろ盾を失った弱体化しきってるJは勢いのあるCに簡単に飲み込まれそう。下手したらCから援助を受けたKにだって負ける恐れがある。もちろんそんなシナリオはCが望まないからないだろうけど。読んでるとぬるま湯に浸かったまま鍋にかけられているような胸の苦しさがある。最後のナポレオンのイラストはインパクト大。★★★☆☆
2022/11/24
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