沖縄の証言 下―庶民が語る戦争体験 (中公新書)
沖縄の証言 下―庶民が語る戦争体験 (中公新書) / 感想・レビュー
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下巻は主に沖縄戦末期の島尻での出来事。特にアメリカ兵や日本兵による住民虐殺の事例が凄まじい。途中いくつか注があるように、淡々と語られているように読めるが、実際はかなり感情の高ぶりなどもあったようだ。こちらは編纂者のひとり名嘉正八郎の筆による後記が付いているが、座談会形式での取材を繰り返したが、本人が思い出すと暴れてしまうとのことで、どうしても証言の得られなかったケースもあったとか。一方当時はこうした証言は信憑性が低いという疑義もあったそうだが、沖縄県史のために集められた。上巻でも書いたが,復刻を望む。
2023/12/18
二人娘の父
上下巻ともに読了。本書の基は『沖縄県史』編纂のなかで集められた証言である。発刊は本土復帰前年の1971年。だが実際の聞き取り(座談会形式)がされたのは1968年頃から。沖縄戦から20年余が経過したばかりという、生々しい証言集である。あとがきにあたる「追憶の苦しみ」という文章に、本書の意義が記述されている。沖縄戦に関する公的な資料はあるが、一般庶民=生活者の語りによるものは無かった。自らの生活の場が戦場となった生活者の語り、それを残すことが貴重な遺産であるという。貴重な取り組みであったことを受け止めたい。
2023/08/26
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