悪と往生: 親鸞を裏切る歎異抄 (中公新書 1512)
悪と往生: 親鸞を裏切る歎異抄 (中公新書 1512) / 感想・レビュー
KAZOO
この本についてはかなり様々な意見が出ているようです。まあ確かに歎異抄の悪人正機説を表面通りに受け取ればその通りになるかもしれません。ただ親鸞の言いたかったことは異なるのではないかと思われます。若干書かれた当時の社会的な出来事などを頭に置いておられるのではないかと思われます。最後に歎異抄があるのはいいのですが。
2015/10/12
杜のカラス
山折哲雄先生、あえて先生と呼ばせていただく。ハッピーリタイアで、社会生活から引退していた。再就職やアルバイト、並行して四国遍路や西国巡礼など、できなかったことで暇をつぶしていた。神戸新聞で先生の講演を知り、明石から西宮まで妻と一緒に聴講した。親鸞、西行の話など、哲学者、知識人、学者とは、こういう人なんだなと久しぶりに感動した。私は、それから先生の御本、ついて梅原猛先生に流れ、読書にいりびたり、死ぬまで退屈しないことになった。その先生の本、歎異抄、また視野を拡げたい。頭を鍛えておかないと、身体と心が弱る。
2022/02/22
うえ
親鸞に対する徹底的な読解きだが本書のテーマは別にある「個、個、個…、個の連続音がこの日本列島の宙に舞いあがりはじめてから、どのくらいの時が経ったのだろうか。個、個という海の彼方からやってきた所属不明の言語が、わがもの顔に、傍若無人に振舞いはじめている」と唐突な嘆き。ここでいう個とは西洋でうまれたindividualでありその集合体がsocietyだ「「ひとり」という、人肌の燗酒のような言葉がなつかしい」ともあるように「ひとり」とは違う。そう、著者の近年の、ひとりの哲学の一連の仕事はここから始まっていたのだ
2019/11/12
nbhd
20冊くらい親鸞さん周辺の本を読んできて、いちばんおもしろかったかもしれない。歎異抄にふれてから、つもっていたモヤモヤ感が一部スッキリした。歎異抄は親鸞さんの教えを門弟・唯円がまとめて、流布する異説を良くないよと諭す内容(異を嘆く)なのだけど、著者がエモーショナルに指摘するのは「それ自体が親鸞さんの教えと喰い違ってるんじゃないの」ということ(唯円=ユダ説)。実際、親鸞さんは「私は弟子を持たない」と言ってるし、異説流布については「ただ悲しい」と言ってるだけ。”何を弟子面して”っていう指摘に、おおいに納得した
2016/05/14
まつゆう
この著者の論文の「断食考」とか結構気に入っていたので読んでみたのだが、仏教学の素人目にしてもきちんとテキストに対して基本的な情報や訳を載せるべきだろうとか、粗がちらほら。読むのに時間のかかった割には…むう。しかし、親鸞の悪人を許す思想に関しては、倫理学的考察の対象としてもう少し自分でも調べたいところである。
2015/02/12
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