百人一首: 恋する宮廷 (中公新書 1725)
百人一首: 恋する宮廷 (中公新書 1725) / 感想・レビュー
kinkin
娘が競技かるたをやっている。かるたというといろはがるたの印象しかないし、百人一首は一体何が書かれているのかさっぱりわからず。しかし試しに一句覚えてみたらなかなかおもしろい。いろいろな百人一首の本を読んでいる。小学生向けのものからマンガ形式のものまで。このほんは詩人の高橋睦郎氏によるもの。氏の海外の詩も例えながら書かれている。私にとってはかなり硬派の本田が、じっくりとページをめくる喜びがあると思う。図書館で借りた本なので、ネット中古で手元用に体入れようと思う。
2023/04/15
マッピー
見開き2ページに歌と作者、そして意訳とその歌の背景や作者の生涯についてが書かれている。この本の特色は、なんといっても意訳の部分。教科書で習ったものとは多分全然違う解釈の歌が多い。あまたある和歌の中から100首を選ぶこと。それだけでも大変な事業だと思うのに、この選集は歌の順番にも意味があるらしい。天智天皇から始まり順徳院で終わる100首。王朝時代のはじまりと終焉。副題の恋する宮廷とは、恋情すら世渡りの手段であり、政治であるということ。全然甘くない恋する宮廷。
2018/02/12
かみしの
百人一首は藤原定家の手による「恋する宮廷の柩であり、墓」である、という。和歌の研究では、本来の意味、作者の同時代的な解釈を行うことが多いけれど、高橋さんはそもそもアンソロジストとしての藤原定家を「第二の作者」として、後読みの概念を取り入れる。そして、源実朝をランボーと比較したり、小野篁とシモーニデースと類したり、「第三の作者」としてふるまう。業平の「ちはやふる」を「血はや降る」と解釈してみるところなどは、そんな大胆なことをやってのける態度に勇気づけられ、自らも「第nの作者」であることに気づかされる。
2018/03/20
夏野菜
これが教養というものなのだろう。人口に膾炙した百人一首を現代から古代ギリシャ、洋の東西を問わず俎上に上げて解釈しまくる。なんたる教養。そして、百人一首はなんと豊かなんだろう。著者は詩人。短歌も嗜む。短歌パラダイスでお馴染みの伝説的な歌会の判者を務めた。
2014/05/05
樂
超訳なので学術的な信憑生は薄いが、それぞれの歌の作者の小ネタを挟んだ解説が面白い。百人一首を通して読んでみたい人には勧められる一冊。
2017/06/28
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