弔いの文化史 - 日本人の鎮魂の形 (中公新書 2334)
弔いの文化史 - 日本人の鎮魂の形 (中公新書 2334) / 感想・レビュー
HANA
前半は古代の殯から火葬、念仏結社を経て蓮如まで葬送儀礼を時代ごとに追う構成になっており、後半はイタコの口寄せに死後結婚、遺影を手掛かりに民衆の霊魂観を考察する構成になっている。あたかも縦糸と横糸の如し。ただ後半は興味深かったものの、前半は中世までで終わっているために中途半端な感じ。先に現代までの葬送の変遷を追った本を読んだせいかなあ。逆に後半は読み応え十分。折口信夫の霊魂観や遺影雑感も面白いが、イタコの口寄せのルポが何よりも興味深い。これらを読むと、現代の生者の癒しが死者と断絶しているようにも思えるなあ。
2016/02/03
モリータ
整理された論文・概説スタイルの読み物ではないので、効率よく客体的な知識を得ようとするのではなく、繰り返しや筆者の推測的表現を通じて脈絡をとっていけばいいと思う。なぜいきなり鴨長明の章なのか、挿入された写真と本文が必ずしも直接の関係がないのではないかといったことも気になるかもしれないが…。
2016/02/02
Ironyuc
日本人の死生観、死後の世界にまつわる認識を体系的・時系列的に知りたいと思い購入。しかし中身は折口信夫の研究成果を紹介したうえで、さらに彼の「盆踊り観」を支持する事例を紹介…という流れで、目的はあまり達せられなかった。とはいえ、「タマフリ/タマシズメ」「古事記由来の死生観と仏教的死生観」といった重要なテーマに関する理解が深まったのでまあよし。
2017/11/24
かりんとー
こういうことを研究したいです。てか著者と自分の興味が似ていてびっくりしました。
2022/04/10
てくてく
第Ⅱ部の、特に第6章の口寄せやムカサリ、花嫁・花婿と弔いについての箇所からが本書の真骨頂だと思われた。未婚で亡くなった人の婚姻については、日本以外にも冥婚としての制度が残っているはずなので、そのあたりも盛り込まれていると良かったのではないかと思った。
2015/10/12
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