歌仙はすごい-言葉がひらく「座」の世界 (中公新書 2524)
歌仙はすごい-言葉がひらく「座」の世界 (中公新書 2524) / 感想・レビュー
KAZOO
連句をそれぞれの分野での一人者が3人(辻原登―小説家、永田和宏―歌人であり生物学者、長谷川櫂ー俳諧師)集ってものにした作品集。第1回の琵琶湖のほとりで行ったものから8回目は江ノ島で様々な場所での集いでかなり自由な感じで読んでいてわたしには素人ながら楽しさがこちらにも伝わってきます。(余談ですが最初の頃の集いにいまレアルマドリッドで活躍している16歳の中井君が9歳で出てきています)
2019/01/28
Eiko
密かにマイブームの長谷川櫂。朝日新聞に紹介されていたのでネットで購入。ワタシのようなオバサンには歌仙と言う頭脳を使うバトルは無理ではあるけれど、過程を読むのは至極楽しい。田舎では文化的知性的バトルを見ることはまずないが、イヤイヤ、便利な世の中になりましたとPCに深々と頭を下げる。いつかビブリオバトルも見たいものだ。歌仙を巻いているところものぞき見したい。どこにも出られない昨今、歌舞伎さえ観に行けず、悶々と時を浪費しているが、本を読み何処へでも行ける自由までは奪われてなるものか!
2020/10/11
yumicomachi
歌人・永田和宏、作家・辻原登、俳人・長谷川櫂がときにゲストを迎えながら歌仙を巻く。歌仙とは五七五の長句と七七の短句を互いに組み合わせて詠み、三十六句の連句で一巻を作るもの。リード役を宗匠と呼びこの本では長谷川櫂が務めている。前の人の句にいかに対応し、つきすぎずに前へ進むか。(歌仙は人生と同じように後に戻れない)。それぞれが持つ語彙やイメージ、そして場のもつ力の響きあいが何とも豊かかつスリリング。「座の文芸」である歌仙の連衆(参加者)は「私」に固執せずに祝祭の空間を作ってゆくことが大切だということがわかる。
2019/12/07
良さん
違う分野で働く人が連衆となって、一巻の歌仙を巻いていく。これが、芭蕉が追い求めた「歌仙」の理想像ではないかと思う。こういう企画がどんどん出て欲しいと思う。 【心に残った言葉】「座の文芸」の正しい意味は…参加する連衆が「私」を捨て去って、次々に別の人物を演じる。そこに仮面をかぶったさまざまな人物、動植物、物体による祝祭の空間「宴」が出現することをいうのだ。(270頁)
2019/05/20
預かりマウス
連歌の一形式である歌仙(36句)の創作と自評の書である。歌仙の歴史的な解説はなく、短い前置きの後で唐突に実際の作品が出てきて面食らう。詠み手は作家・歌人・俳人の三人で、現代日本文学界では割と大御所のようだが知らなかった。三人とも団塊の世代あたりなので句題も古いものが多い。私は古典和歌には親しみがあるが現代短歌や俳句には関心がなく、歌仙の内容は特に美しいとも面白いとも思わなかった。詠み手の個性に親しみがないと無理があろう。また、俳諧全般に言えることなのだろうが解説ありきの詩の在り方について考えさせられる。
2023/12/18
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