政界再編-離合集散の30年から何を学ぶか (中公新書 2651)
政界再編-離合集散の30年から何を学ぶか (中公新書 2651) / 感想・レビュー
岡本
55年体制の終了から始まる政界再編を纏めた一冊。新党結成や解散・合流などの条件やタイミング等、日頃ニュースを追っているだけでは分からない事が多い。自民党が下野した際に党が割れなかったのに対し、民主党が割れてしまった点等々。再編がテーマなだけに自民・共産よりも民主・第三極などの離合集散が細かく書かれている。自民党総裁選と衆院選が控えている中、野党は共闘を叫ぶも政権構想は見えてこない。あとがきにある著者の提言を受け入れて政権交代を成す政党は出てくるのだろうか。
2021/09/26
nishiyan
平成政治史において重要なキーワードである「政界再編」。30年の流れを丹念に追いながら、離合集散のタイミングと条件に加えて、左右のイデオロギー軸を元に読み解く政界再編史。新進党、民主党、民進党などが複数政党との合流によってできた政党であるが故の脆弱さが解説され、野党が2大政党へと向かってまとまると壊れる裏に第三極の存在があるという指摘は興味深い。野党は与党だけでなく、第三極との違いを明確にしつつ、中道層へのアピールが必要というかなり難しいかじ取りを強いられるのだが、果たしてそれができる党は現れるのだろうか。
2021/08/05
ア
流れは平成政治史だが、「政界再編」ということで、大政党からの分裂や小党の離合集散の歴史とメカニズムを描く。小党の大同団結は政策面での対立をはらむという基本的なテーゼと、1990年代の選挙制度改革を前提、さらに民主党政権の失敗。こうした条件の上で、野党は政権獲得に向けて模索している。結論部、立憲民主党の野党共闘方針、特に共産党との連携がマイナス面を伴うのは確かだが、ウィングを右に広げていくことは果たしてよい判断なのかどうか。私は今の自民党のぐらつきを見ると、立民は現在の方針を継続するのがよい気がするが…
2021/08/04
預かりマウス
主に1993年以降現在に至る政界再編の流れについて概説されている。読みやすい。民主党政権期までは常に政界再編の台風の目になっていた小沢一郎の圧倒的な個性が印象的。小選挙区制のもとでは、政策の理念の純化を追求すれば少数化して選挙に勝ちにくく、大同団結を図れば選挙で勝ったとしても政策の統一性が取れず分裂する、というジレンマの繰り返しである。政策が大事とはいっても、やはり政局は前提であり、醜い生き残り策を取らざるを得ない議員たち。政党、ひいては代議制の存在意義とは。
2021/12/30
はら坊
1993年の政治改革から現在に至るまでの政党の離合集散を振り返った書である。 選挙制度改革に端を発した政界再編は、2003年の民由合併、2009年の民主党政権誕生によって完成を見たと思われたが、その後の民主党政権の失敗によってふたたび混迷を極め、現在に至る。 政治に関心がある人にとってはおおむね既知の事実が記されているが、政党システムの分析に基づいた叙述から政界再編の歴史を振り返ることができるので、情報の解像度が上がること間違いなし。 衆院選の最中である今こそ、有権者のみなさんが読むべき書である。
2021/10/28
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