物語 パリの歴史-「芸術と文化の都」の2000年 (中公新書 2658)
物語 パリの歴史-「芸術と文化の都」の2000年 (中公新書 2658) / 感想・レビュー
skunk_c
ローマ時代からのパリの発展をざっくりと記述する。前半はかなりフランス自体の歴史の話といえる内容で、フランス革命からナポレオン、そして19世紀後半の都市「再開発」の部分が詳しくて面白かった。しかしなんで近現代の地図が1枚もないのだろうか?現代の地図が添えてあるだけでどれだけ読みやすくなったか。また、パリの歴史であるのに、パリ・コミューンには殆ど言及がない。また、第2次世界大戦中のドイツ支配下と解放などについても言及がなく、「歴史」と銘打っている割にはアンバランスなものを感じた。一方絵画など文化面は充実。
2022/12/16
佐島楓
文化史として読んだ。特に神学から始まり大学組織へと発展していく芸術の分野は、日本のそれと比較しても当然大きな差異があり、その流れが現代の文化振興政策につながっているのだろうと思った。
2021/09/22
サアベドラ
日本フランス史学の大家がまとめたパリ略史。2021年刊。パリというと日本では文学者が書いたものや観光ガイド的な本が多く、歴史家によるものは少なかったと思う。良い点はパリの景観が徐々に形成されていく様子を時系列順に理解できる点と巻末の参考文献が丁寧で読書ガイドとして有用な点。悪い点は通史部分が実質的に19世紀末ぐらいまでで終わっているところと、文化や芸術の記述がいくつかの章に偏っていて副題の「芸術と文化の都」感があまりないところ。大学の講義みたいな構成だと思ったらあとがきに講義が元になっているとあって納得。
2021/12/09
おせきはん
古代ローマ時代から2000年にわたるパリの歴史がまとめられています。特に、王室をはじめ様々な人々の国をまたぐ交流が芸術と文化を花開かせた様子や近代都市へと生まれ変わった都市の大改造について理解を深めることができました。パリには20年ほど行っていませんが、再び訪れて、書かれていたことを確認したくなりました。
2022/01/11
くまさん
パリという都市にひしめき合う政治経済、文化芸術の多様な力を、新書のなかでこれだけ彩り豊かに描き出すことができる筆力に感銘を受ける。ナポレオン三世期のセーヌ県知事オスマンの大改造が、優れた建築家たちの尽力によるものであったことがわかる。セーヌ川が中心部を貫き左岸と右岸に分かれる構造、郷愁を漂わせるシテ島の広場は、疫病や戦争や改造をくぐり抜けてきたプロセスを知ればその見え方が変わってくる。モードと食、芸術作品にも造詣が深く、市民が自由に交流し合い、歴史的遺産とともに暮らす都市像に想像力と感受性が広がっていく。
2021/09/30
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