行動経済学の処方箋-働き方から日常生活の悩みまで (中公新書 2724)
行動経済学の処方箋-働き方から日常生活の悩みまで (中公新書 2724) / 感想・レビュー
trazom
バイアスやヒューリスティックスが人間の行動に与える影響が、具体例を用いてわかりやすく紹介されている。特に、新型インフルエンザ等対策推進会議の分科会委員でもあったご経験から、感染症対策の政策決定や、テレワークやオンライン会議の功罪などについての解説は、タイムリーで興味深い。本書は、現代社会の様々な課題に対する経済学者の視点という意味では面白く読めるが、ただ、タイトルはミスリードだと思う。社会心理学や数理統計学の知見を経済学という枠組みに応用する「行動経済学の処方箋」が、あまり明らかにされていないことが残念。
2023/08/13
けんとまん1007
行動経済学に関心があるので、おさらいの意味で読んでみた。こういう視点は、忘れてはいけない。身近なところに、それは潜んでいる。自分の本音よりも、俗にいう世間に流されるということの結果が、いろいろなところに出ているのが、今の時代だろう。それを、どう考えるか。
2024/01/03
venturingbeyond
タイトル通り、行動経済学の射程とその社会政策や個人・組織の行動改善への活用可能性を、多様な具体例を挙げて示した一冊。人文・社会科学の有用性(社会的意義)を、まずは自身のフィールドである行動経済学において、これでもかというほどの実例を挙げて示そうとする、大竹先生の啓蒙的意図が伝わってくる。有用性の概念そのものを批判的に検証することももちろん重要だが、これと並行して、学問の社会的意義や実社会の発展への貢献について、アカデミズムの側から積極的に発信すべきという大竹先生の主張には、全く同意。
2022/12/22
coldsurgeon
経済学という学問領域は、いまひとつ理解しかねるところがあるが、行動経済学とは、経済学と心理学との合流した学問らしい。バイアスやボトルネックという用語を使い、人々が望ましい行動をとれないということを当然のこととして受け入れる。そこから課題解決の提案ができるもの。アダムスミスの国富論の開設を含め、経済学の理解は少し進んだ。
2022/12/29
qwer0987
全体的に散漫な印象を受ける。それは議論がいろいろな方向に飛んでいてテーマとしての統一性が見えづらいからだろう。そのため少しもどかしく感じるが、各論自体はそれぞれ面白かった。人間の認識のバイアスにはいろいろなものがあり、それを生かしていかに人の行動を誘導していくか。それらの視点は行動経済学の知識がないので興味深く読んだ。新型コロナに関して、利他的メッセージで訴えかけた方が人の行動様式が変化するという点や、ネガティブなメッセージは短期的には有効でも長期的には疑問、といった意見は関心を引いた。
2023/02/28
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