生物多様性を考える (中公選書 9)
生物多様性を考える (中公選書 9) / 感想・レビュー
壱萬参仟縁
ホンマ でっか!? TVでお馴染みの先生。参考文献は文中表記のみ。1986年、G・ローゼンがBiodiversityを提唱(13頁)。あいまいこそが生物多様性を普及した最大の原因としている(20頁)。3つの概念から成る。①種多様性。②遺伝的多様性。③生態系多様性(23頁)。種とは構成員が自然条件下で自由交配でき、集合体から生殖的に隔離される集合体(27頁)。恒常力、抵抗力、復元力が生物多様性にはポイントとなる(73頁~)。人口70憶は多すぎで、30億ならば生物多様性保全は容易とのこと(126頁)。
2014/11/01
またの名
「もとは生物学的多様性と言ってたのに学的-logicalを取ったら急激に普及した」と皮肉を込めて発案者が語るように、中身が曖昧なまま通用している生物多様性の概念を検分。自らを反主流派の研究者だと言う著者の言葉がどこまでホンマですかと尋ねるわけにもいかないけど、多様性はとにかく守らねばならないと叫ぶ主流派に対するツッコミを、言葉通り一貫させる。すべての生物をそのまま保存するという論理の狂気を批難するのは、外来種の定義も曖昧だし、結局人間の政治的な都合が生物多様性をめぐる問題で最も事情を左右するとの考えから。
2018/04/27
ばん
2010年名古屋で開かれた国際会議の議題「生物多様性」に関する本。多様性とは、種とは何かということから始まり、それを保全すると言う事は「コスト」と「利益(この場合の目的は経済側だけではない、当然保全側の利益も含む)」の釣り合いのあることなのかどうか、色々条約があるが果たして有効なのか、里山の可能性は……と話は進んでいく。そして、これは極めて政治的な問題であることを極めて鮮やかに浮き彫りにする。原発問題もそうだが、一体何を求めて我々は「環境」とか「自然」と関わるのか、経済とは社会とは。。。見直すことは本当に
2012/06/16
マウンテンゴリラ
温室効果ガスの問題に代表されるような環境問題が、極めて政治的な問題であり、各国の利害関係のぶつかり合いを効果的に調停する手段が見いだせていないというのが現実であろうか。生物多様性の問題についても、すでに原理主義的な固有種の保護政策や、生物遺伝子の特許による囲い込み等、まさに政治的、国益優先主義的な利害対決の傾向が見られ、本書は、それに対する警鐘と受け取られた。結局は、現在の国際社会の枠組み内では、これらの問題を解決することは困難なように思われる。→(2)
2014/05/16
ryooyr
種とは何か、生物多様性とは何かの考察から始まり、その多様性を何のためにどうやって保存するのかを考え、今国際政治で生物多様性がどう扱われてるかで終わる。アル・ゴアの都合のいいキリスト教精神が大嫌いな私には頷く箇所が多数あって面白かった。自分の好きな環境が変化することを憎む気持ちを否定する気はないし私も変わってほしくないが、それを人間のエゴだ地球のためにだと崇高な話にするから付いていけなくなる。ただ筆者とは対立してるらしい井田徹治の本も私は読むべきなのだろう。
2014/01/01
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