所有とは何か-ヒト・社会・資本主義の根源 (中公選書 138)
所有とは何か-ヒト・社会・資本主義の根源 (中公選書 138) / 感想・レビュー
よっち
こんにちシェアやサブスクがあるのに、ヒトは所有せずにいられないのはなぜか。経済学や社会学、人類学の第一線の研究者6人が、所有(権)の謎をひもとく論考集。戦後沖縄の社会変動と所有権の再編、タンザニアのインフォーマル経済における所有・贈与・人格、中国社会のコンヴェンション(慣習)としての所有制度、経済理論における所有概念の変遷、資本主義にとっての有限性と所有の問題、所有財産としての農業システムなど、後半に行くほど難解になっていきましたが様々な考え方が紹介されていて、タンザニアのエピソードは興味深かったですね。
2023/07/12
月をみるもの
ヒトとモノの関係として、最も重要なのが「所有」という概念。自分の興味にしたがって読んでいくと最後の6章から冒頭に向かって、、、という逆順になったわけだが、結果としてそれが正解だった。普通に1章を最初に読んだら「なにこれ?所有論じゃなくて、ただの沖縄の社会史じゃん?」としか思えなかっただろう。しかし逆順で読んだことで「ヒトがある集団に所属すること」は「個人が集団に(あたかもモノのように)所有されること」や「ヒトが所属集団外のヒトをモノとして考えること」につながってるのかもしれないという気付きを得た。
2023/08/27
chiro
「所有」という概念について6人の論者が自らの視点で論じている著作。副題にある通り「ヒト、社会、資本主義の根源」をなす概念である事がよくわかる。中でも小川さやか氏の論考は「贈与」に対するアプローチを思い起こさせるもので興味深い内容だった。
2024/07/26
nago
所有する「ヒト」と所有される「モノ」の二元論のみで所有を論ずるのは困難で、所有の在り方は歴史と共に変わるし、習慣によって左右されるし、これからどうなるかも分からない。所有、という切り口一つでここまで様々な議論が生まれて、本になるとは。
2024/07/28
林克也
資本主義にとっての有限性と所有の問題(山下範久)の章がとても参考になった。
2024/01/20
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