ぷちナショナリズム症候群: 若者たちのニッポン主義 (中公新書ラクレ 62)
ぷちナショナリズム症候群: 若者たちのニッポン主義 (中公新書ラクレ 62) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
香山リカは初読。タイトルも論調も軽そうに見えるのだが、極めて今日的でありつつ、論客としての責任を強く自覚した評論である。今はまだ日本におけるナショナリズムは「ぷち」てあるかも知れないが、近い将来それはフランスのペロン支持層以上に極端なものになりうるのではないか、というのが著者の危惧である。階層社会の固定化と、その肯定は彼女の予見する未来像を否定するものであることを著者とともに切に願う。
2013/09/02
ミカママ
今から10年以上前の著作でもあるし、ちょっと私が読みたかった内容とは違ったけれど。何しろ、私が日本を飛び出たあとの「現代若者」理論なので、それなりに評価できるし、勉強になりました。
2014/11/29
サイバーパンツ
W杯での熱狂や日本語ブームなどに代表される「ニッポン大好き!」な風潮。著者はこれを「愛国ごっこ」だと斬り捨て、その根幹には「ぷちナショナリズム」があるという。まぁ、そういう風潮はあるとは思うけど、本書での著者はこの「ぷちナショ」を使った若者叩きが主だから、感じが悪い。それに分析としても、だいぶ主観で書いてるので、あまり信用はできない。ただ、ゆるふわ精神分析&リカちゃんの毒吐きエッセイとして読めば、割と面白い。
2016/09/07
銀雪
「愛国心」について勉強する機会があったから読んだ。芸能人や漫画など卑近な事例が豊富で読みやすくはあるけれど、内容の深さは今ひとつ。うーん、著者のいう「ぷちナショナリズム」の概念自体はわかるんだけど、全体的に仮説が少々極端すぎる印象が。「きみはペット」の関係からみる階層化についての分析などは興味深かったけど、ナショナリズムと結びつける必要はなかった気がする。
2011/07/11
白義
ぷちナショナリズムという言葉と最初の着眼点は悪くはありませんが、精神分析を使った緩めのエッセイ以上のものではない気がします。この具体例ならぷちナショに限るよりもさらに抽象化し、香山さん自身が引用するナンシー関さんのように屈託なき集団主義への違和感を詰めた方がよかったのでは。イデオロギー性が抜けたかのような陰影のない自己肯定への違和感、ためらいという視点は悪くなく、香山さんのエッセイの長所でもありますが、詰めの甘さと緩い精神分析使用と欠点もよく出たという印象。それを了解した上でなら面白いことは面白いです
2011/07/26
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