娼婦の本棚 (中公新書ラクレ 761)
娼婦の本棚 (中公新書ラクレ 761) / 感想・レビュー
やいっち
「キャバクラやアダルトビデオなど、夜に深く迷い込んで生きていた頃、闇に落ちきることなくこの世界に繋ぎ止めてくれたのは、付箋を貼った本に刻まれた言葉だった――。」とある。軽薄なのか冒険心や親や学校社会への反発心、あるいは同世代の女子への見栄や流行を追うマインドの突っ張り合いなのか。だからってAV嬢までやるのか。までという言い方に偏見があるのか。
2022/07/13
fwhd8325
タイトルの勝利ではありますが、いわゆる企画的な内容ではなく、著書自身が等身大で伝わります。タイトルの衝撃から、もっと過激なものも期待していましたが、これも著者の計算、お考えからすれば、見事に手のひらで踊らされレテいるように思います。
2023/06/07
TakaUP48
読書中に芥川賞候補として名前が出てきた!昔の接続詞連発の岸田淳平程の超長文ではないが、慣れないと読みづらいかも。涼美スタイルというか、独特の文体。時折、ズバズバと裏の世界を書いているが、何処か教養が染みてくる。「本」はカラダに悪いことばかりしてきた筆者の青春に色彩を足し、ぬかるみから掬い挙げてくれたと言う。気になった本は、L.キャロルの「ふしぎの国のアリス」、岸田秀の「性的唯幻論序説」、山田詠美「蝶々の纏足」、西原理恵子「ぼくんち」、内田百閒 「大貧帳」、井上ひさし「私家版日本語文法」、橋本治「桃尻娘」。
2022/06/21
ころこ
タイトルや表紙からは写真付きで実際の書棚の紹介かと想像しますが、実際は書評でした。著者は本を他者として受け取っているところがあります。この意味の他者とは倫理的な規範のことですが、著者の場合は少しひねってあって、「一般的な優先順位が崩壊している」ことによる意味の再構成のこと、言い換えればクソみたいな世界における倫理は本当の倫理ではなく、転倒していることによってなされる異化効果によって、そこから考えていくことがこの荒野を生きるための倫理なのだとでも言いたげです。全20冊が紹介されている本の意味の読解と著者の生
2022/06/30
とある内科医
まずは著者、編集者に「そんなタイトルにしなくてもどうせ買うから大丈夫ですよ」と伝えたい。読点の多い涼美さんの文体にもだいぶ慣れてきたところ。自分語りや性的な話題から離れた著作も読んでみたいと感じるものの、繰り返し触れるエピソードでも飽きさせないのはやはり文章力が高いのだろう(少なくとも強い個性は感じている)。井上ひさし、桃尻娘、海外文学などといつ、どのように出会い、どう読み、いかにして自分の中に蓄積してきたのかが語られ、興味深く読んだ。タイトルで敬遠される方は、著者による他の本からどうぞ。
2022/05/06
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