珍品堂主人 (中公文庫 A 96)
珍品堂主人 (中公文庫 A 96) / 感想・レビュー
metoo
【洋子さんの本棚】より。「骨董は女と同じだ。他の商売とは違う。変なものを掴むようでなくっちゃ、自分の鑑識眼の発展はあり得ない・・・」このセンテンスに集約されたような珍品堂主人が楽しい。骨董に行き詰まり料亭経営に乗り出したけど、骨董ほど人を見る目がない。贋作かと思ったら真作で、間違えなく信頼した真作が贋作だったり。珍品堂が激昂した時の蘭々女の「タンマ。」そしてあどけない女の子のように頭を下げる。これは使えるわ_φ(・_・ニヤリ
2017/07/26
penguin-blue
実は井伏鱒二ちゃんと読むの初めてかも。たまたま手にとって妙に捨て難く購入。骨董を生業にする珍品堂が商売が思わしくなく旦那に進められるまま高級料理屋の主人となり、もともとの凝り性と審美眼を生かしてかなり繁盛するものの主人と縁がある怪しい女傑に最終的にはめられ…という話。途中から珍品堂が角野卓造に見えてきて困った。あと、対決する蘭蘭女がもう名前からして昔のアニメの怪しい女悪役(ドロンジョ様とか)風味(笑) そんな不真面目な読みかたをしつつ、実はふとした一文に味があり、やっぱり残る作品なんだなあ、とも思ったり。
2017/06/23
メタボン
☆☆☆ 骨董を巡る飄々としたやりとりが面白い。料亭を乗っ取った形になる蘭々女はまさに遣り手。蘭々女にきりきり舞いにさせられる珍品堂主人の面目なさが痛快。
2022/08/10
まめこ
★★★★☆珍品の掘り出しを得意とする骨董屋のおやじ珍品堂。前半はゆる~い掘り出し道楽記。後半は金のため一念奮起!アドバイザー蘭々女を雇い、料亭途上園の開業に乗り出す。骨董でぼろ儲けするたびに禿げ募る迷信に気を揉むような珍品堂と、強かな蘭々女女史の力の差は歴然(笑)。三升の米に値する魚のサンジョゴメ、タレに蕎麦粉が入っているだけのラーメンの蕎麦などグルメ記も楽しい。
2019/01/12
月
★★★☆☆(珍品堂主人のモデルは青山二郎・小林秀雄らとも交流があった秦秀雄(骨董商・料亭主人)らしい。魯山人の星ヶ岡茶寮元支配人。「骨董は女と同じだ。他の商売とは違う。変なものを掴むようでなくっちゃ、自分の感傷眼の発展はあり得ない。骨董にも女にも、相場があるようで相場がないものだ。持つ人の人格で相場がある。なるほど骨董に惚れたとする。惚れるから相場があり、自分の発展がある・・」。個人的には「贋の骨董だって、どうしても手放す気になれない場合がある」も深い。自分だけの感覚(心)とでもいうのか・・)
2010/12/29
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