マレー蘭印紀行 (中公文庫 A 81-4)
マレー蘭印紀行 (中公文庫 A 81-4) / 感想・レビュー
ゆいまある
高野秀行さんも宮田珠己さんもあちこちで褒めてた気がする一冊。波乱に富んだ人生を送った詩人であり画家でもある作者。昭和初期にマレーシア、シンガポール、インドネシアで過ごした日々。景色、そこで暮らす人々をデッサンのように描写している。詩人マジック。水晶玉に透かして見るように景色は膨らみ、不思議な世界が覗ける。特に物語がある訳では無いのだが文章が秀逸。但し読めない漢字がいっぱい。爪哇ってジャワ島のことか。インドネシアかマレーシアに何度か行っていても分からない単語も多く、誰もに読みやすい本では無いかも。
2023/11/01
渡邊利道
ときおり書架から引き出して読みたくなる本。昭和三年から七年まで断続的に行われた東南アジアの旅を綴ったもの。不倫に喘ぐ夫人を伴うものだあったらしいが、バタビア(現在のジャカルタ)篇をのぞいてほとんどその影は射さない。深い孤独と、陰鬱な南国の自然、怜悧な抒情で何度読んでも陶然とした、またごく静かなさわめきとを感じ取ることができる。
2017/10/05
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