歴史・祝祭・神話 (中公文庫 M 60-2)
歴史・祝祭・神話 (中公文庫 M 60-2) / 感想・レビュー
ハチアカデミー
C 道化論、トリックスター論で知られる文化人類学者・山口昌男の「スケープゴート」論! タイトルからは想像できなかった内容のため面くらいはしたが、社会や共同体はなぜ生け贄を必要とするのかを解き明かさんとする論考は刺激的。スペインの詩人ロルカの歌から、ソビエトの演劇作家メイエルホリドまで、殺された、または時代から迫害された人物を追うことで、迫害の心性史を構築し、それがはらむ神話的・祝祭的世界を暴く。第二部のトロツキー論に時代を感じてしまい、また代表作に比べるとやや論点がはっきりしない印象もあり。
2012/06/05
うえ
「1922年…52歳の若さで、レーニンは脳溢血に倒れた。…彼が、ボルシェヴィキの名によって、左翼反対派の弾圧を通じて確立した抑圧装置は、装置のコントロールが個人の手中に入ると、怖るべき人間性抹殺の機構になるはずのものであった。GPUしかり、党内粛清またしかりであったことは20年代後半以降のロシア史を知るものにはまったく否定できない事実である。…トロツキーは二度も三度もスターリンを倒すか、圧倒する機会を得ながら、みすみすエースをブタにしてしまった。…トロツキーは切り札をもスターリンに渡してしまった」
2023/09/19
koume
トロツキーがレーニンに追い詰められていく描写が見事。あと満鉄爆破事件の首謀者が甘粕ではないかもしれないとの(山口の友人からの)証言あり
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