夷齋小識 (中公文庫)
夷齋小識 (中公文庫) / 感想・レビュー
双海(ふたみ)
石川淳、きちんと読んだのは今回が初めて。面白かったのは「三好達治」「無害は有害といふこと」「本居宣長」の三篇。
2015/06/02
マッピー
石川淳。安部公房のお師匠さん。無頼派の人。そのくらいしか知らなかった。夷齋というのは彼の号なのか、エッセイ集の頭にはこれが付く。で、無頼派と言えば坂口安吾なので、「クラクラ日記」の序文を楽しみに読んだのだけど、これについてはあっさりでした。三好達治とは本当に仲が良かったようで、前半の文章の大半は彼についてのもの。ただ、残念ながら私が全然詳しくない。ああ、ミスマッチングだったかなあ…。昭和38年8月から昭和46年1月に発表された文が収録されている。
2019/02/03
がんぞ
この人の少年期には江戸時代に生きていた人がいて、百人一首は「ひゃくにんいしゅ」と読むとか教えてくれた。耳学問と識見の燈火が文藝史解明に当てられている。時代の気分を理解するのは重要なことだ。早い話が戦前に日本はアメリカとどういう力関係にあったか、日本の「アジア大陸モンロー主義」はそれほど不当な主張であったか、犠牲を最小にするためドイツの「協力要求」に「折り合いをつける」を主張した忘れられた知識人シャルドンヌを例に挙げ、今の知識人はレジスタンスをどう評価するか「自由」の価値とはと問いかける戦前の教養人の凄み。
2013/06/30
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