サド侯爵の生涯 (中公文庫 M 176-2)
サド侯爵の生涯 (中公文庫 M 176-2) / 感想・レビュー
鱒子
大好きな本。久しぶりに読み返しました。変態の代名詞のような扱いのサド公爵ですが、その生涯は決して享楽的なだけでは有りませんでした。欲望のままに楽しく暮したかった若い貴族が、度重なる投獄生活の中で渇望し、ひとりの文学者へと変貌してゆきます。フランス革命という激震に翻弄される人生の終盤は、辛いものがあります。なんだかサドが可愛くて好意を持ってしまう本なのです。
2020/01/23
双海(ふたみ)
とにかく詳しい。サドを知るにはもってこいの一冊。1784年2月29日、44歳のサドがバスティユの獄に入って、1789年7月2日に下水を流す漏斗をメガホンの代わりに用いて、獄窓から民衆を煽動したという記述がなんだかサドらしくて好き。
2014/01/21
SKH
サドといえば澁澤。激動の時代に生を受け、良識と社会に挑戦し続けた「サド侯爵」、淫楽と放蕩に身を投じ、長い獄中生活を経て、牢獄文学者として覚醒し、エロティシズムを新たな地平へと導く。澁澤龍彦の想念は巻末の一文に集約される。「君たちの永遠のエロティックな形而上学的対話を、私たちの堕落せる地球まで送ってくれ!」198X。
2014/09/03
らい
面白かった。なんとなく先入観で投獄と執筆を繰り返していたのだと思っていたけど革命前はガッツリ入れられていたんだ。何から何まで時代を象徴しているような人生だ。バスティユ牢獄とかそんな歴史舞台が重なっていたとは驚いたし、ドキドキした。そして唯識的に監獄の中で自由を体現してまった人。そしてフランス変態文学の総本山か、あらゆる意味においてサドが特別な理由がわかった。すごい著作に興味が湧いた。
2020/02/04
レコバ
著作の影響で誇張されているとは思っていたがサドが生きた時代は知らなかった。有閑階級への不満が頂点に達しフランス革命に至る時代背景から切り離してサドの評価を語る事は出来ないという話。サドの文学を楽しむ為のコンテクストの一つとして有用。
2014/05/24
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