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マイ・ロスト・シティー (中公文庫 C 27)

マイ・ロスト・シティー (中公文庫 C 27)

マイ・ロスト・シティー (中公文庫 C 27)

作家
スコット・フィッツジェラルド
村上春樹
出版社
中央公論新社
発売日
1984-06-01
ISBN
9784122011342
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マイ・ロスト・シティー (中公文庫 C 27) / 感想・レビュー

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SOHSA

《購入本》フィッツジェラルド短篇集、村上春樹訳。フィッツジェラルドの作品はどれも頽廃的でうら悲しく読後に余韻が響く。一度目よりは二度目、二度目よりは三度目と読み重ねるほどにあじわいが深く増す。過ぎゆく人生の来し方を振り返るときに突然、理由もなくフィッツジェラルドの作品が思い浮かぶ。人も街もやはり過ぎていくのだ。人生の機微とはそうしたものなのだろうか。

2018/05/12

ちぇけら

いつからかゆめの中に閉じ込められて、それは自分の見ているゆめだというのに、わたしはどこへも行くことができずにいる。あれから雪は沈黙したまま降り続けた。なにかたいせつなものを失った気がした、だけど息が苦しいだけで生きてはいけるのだ。目的もないまま、愛を消費されながら、地面にたったひとつの影を落として。あの日、ただ抱きしめられて、君がすべてだと言って欲しかったのかもしれない。あなたのくちびるだけが、わたしの肺に酸素を送り込むことができるから。もしも戻れるならば、そう思ったところで目が覚めた。暗い、暗い部屋で。

2024/01/14

マーシー

「俺のこれからの人生なんて、結局は何もかもを切り捨てていくための長い道のりにすぎないのじゃないか?どうせそれだけのことなんだ、きっと…」哀しみの孔雀、残り火といった栄華の後の話はフィッツジェラルド自身の成功とその後の空虚さからきているのだろうか。北部と南部の文化的、民族的確執からくる感情の対立は現代でも感じることがあると思う。読後の空虚さは訳者村上氏の作品を彷彿とさせた。

2017/05/28

Nick

スコットフィッツジェラルドの自伝的短編集。宴が終わった後のものがなしさが切ない。『失われた三時間』が印象に残った。じわーっとくるような読後感。

2019/07/10

Naoto Ono

これは喪失の物語集だ。最愛の夫を失う、遠い地への憧れを失う、綺麗な思い出を失う、尊敬を失う……そこに安易な救いはない。読んでいて苦しくなる話もあったけれど、冒頭での村上春樹のフィッツジェラルドの紹介があったからこそ、それぞれの話が作家の人生から浮かび上がった真に迫るものに感じた。自分も大人になり下り坂に差し掛かったからか、こういった話が本当に心に残る。

2015/07/25

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