江は流れず 下―小説日清戦争 (中公文庫 A 71-10)
ジャンル
江は流れず 下―小説日清戦争 (中公文庫 A 71-10) / 感想・レビュー
榊原 香織
上中下巻の下(完読) 日清戦争自体の記述はあっさり。 李鴻章が講和のために日本、下関、春帆楼に来る。で、過激派に頬を撃たれる。弾も取り出さずに会見に。70過ぎても気丈。さすが。
2023/09/14
糜竺(びじく)
読んでいて思ったのは、清が日本に負けたのは必然のような気がしました。まとまりがなく、腐敗していて、士気も低く、何事においても清国の方が中身がからっきし駄目っていう感じでした。李鴻章はすごい大政治家といえますが、彼をもってしても、老衰国の清をどうすることも出来なかったのを見る時、物事を変革するのが、いかに難しいかが、この作品で学んだ気がします。また、戦争が始まり、そして停戦へと交渉に入っていくわけですが、最後の色々な駆け引きも読み応えがありました。直木賞作家の陳舜臣先生の冷静かつ緻密さが冴え渡る作品でした。
2015/10/25
しんすけ
まだ開戦布告前だが戦いは始まっている。日本は果敢な戦いをしているが、清は全くだらしない。李鴻章の命に軍首脳が従わない。当時の清の軍事力では戦う意志さえ発揮できなかったのだ。西太后の贅沢な趣味に金が費やされ軍事費には殆ど回ってこないのだから、当然の結果だ。 期せずして開戦布告は1894年8月1日に日清両国とも同日に行われる。李鴻章や西太后は開戦する意思は無かったが、清国王に当たる光緒帝は開戦の意志が強かったからだ。ただし国王の立場にありながら西太后に実権を握られているのを23歳の青年が反発した側面もある。
2021/01/25
Miguel
「蒼穹の昴」とは違いドキュメンタリーを読んでる感じ。東アジアの政情を中心に、欧米列国を絡めた帝国主義というものがどのようなものであったかが非常によくわかる。伊藤博文、陸奥宗光等の日本の政治家の外交を読む力や太平洋戦争では完全に崩れる陸軍と海軍の協調(トップ人材が行き来していたから?)見て取れ、当時の日本の急速な発展と今との違いを感じる。なかなか朝鮮半島の近代史に触れることがないので勉強になった。あと、一番心に残ったのは李鴻章のバランス感覚。ちょっと続けて李鴻章関連の本を読もうと思いました。
2012/03/18
るか
当時の東アジア情勢がとても良く分かって勉強になりました。 日清戦争って言うけど、基本的には青春期の大日本帝国と李鴻章との戦争だったのだな。清国はグダグダだったってことが良く分かる。末期の李朝もね。
2015/06/07
感想・レビューをもっと見る