序の舞 (中公文庫 A 108-6)
序の舞 (中公文庫 A 108-6) / 感想・レビュー
goro@80.7
読書が好きで良かったと思えた700頁越えでした。ページを捲る手は止まらず島村津也の一生を駆け抜けた気がします。砂絵描きの追って行ったあの日から絵に傾けた情熱と女である事の辛酸を舐めた日々とどうしようない性。お母ちゃんがまた強く温かく守ったね。最後の章は涙なしでは読めへんわ。師と仰ぎ、男として想いを馳せ、裏切られても心情を絵に表してきたのですね。上村松園の絵が見たい。見たら泣きそうになるかもしれない。読ませる宮尾登美子、完敗でした幸せでした。
2022/07/19
kawa
明治から昭和にかけて女流日本画家の先駆者として活躍した上村松園さんがモデルの700ページ超えの圧倒的読み応え有りの秀作小説。恋多き主人公・島村津也に対する業界・世間からのハラスメントの凄まじさに唖然。今から見ると隔世の感だが、それらに翻弄されながらも、母・勢以(いい味出ている)の助けを得ながら我が道を歩む主人公の姿が眩しい。映像化作品も視聴済みだが、読書から得られる満足感には遥かに及ばない印象。藤沢周平氏、陳舜臣氏の作品を押さえての1983年吉川英治文学賞受賞作は伊達ではない。
2024/07/14
まる
日本画家・上村松園をモデルとした一代記。読書によりこんなにもエネルギーを吸い取られ、また与えてもらえるものとは……。同じ女性として、この物語を辿ることができ本当に良かったと感じます。その生き方、画業に心からの賛辞を送りたい。「これが私の座右の書」と貸してくれた友人に感謝です。
2015/05/28
てふてふこ
終始夢中で読んで、読後の余韻に浸っています。島村津也の一生は日本画家らしく春夏秋冬を色濃く残した。恋の春、絵に没頭した夏、人と違う生き方に悩む秋、失恋、世の中の嫉妬に狂う冬。津也を支え荒波を突き抜けた母・勢以もまた凄い。題名の序の舞とは作品名だったのか。個人的には失恋後作「焔」の方が魅力を感じます。兎に角、素晴らしい小説です。
2014/09/23
いっちゃん
京セラ美術館一周年記念で開催された上村松園の作品をみて、こんな素敵な作品を描いた人を知りたいと思い、読んでみました。当然のことながら、公式に書かれているプロフィールは上辺をさらりとなので、こんな激しい人生を送ったとは思いませんでした。フィクションであったとしても、何割か割り引いたとしても、大変な苦労があったことは伝わってきます。誰しも思うことだろうけれど、松園さんのお母様がすごかった。お母様が支え続けて、上村松園という画家が生まれた。
2021/09/28
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