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少女コレクション序説 (中公文庫 し 9-5)

少女コレクション序説 (中公文庫 し 9-5)

少女コレクション序説 (中公文庫 し 9-5)

作家
澁澤龍彦
出版社
中央公論新社
発売日
1985-03-10
ISBN
9784122012004
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少女コレクション序説 (中公文庫 し 9-5) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

再読。しばらくぶりに澁澤の衒学趣味を堪能する。本書は、その大半がエロティシズムをめぐるエッセイからなるが、いつもながらの博覧強記ぶりには驚くばかり。澁澤を読む楽しみは、まさにここにこそあるのだろう。エロティシズムの本質が「産まない」ことにあるとすれば、たしかに人形への偏愛はその極北の姿でもある。なお、表紙は四谷シモン製作の人形だが、本書に刺激されてベルメール等の関節人形をGoogle画像でしばし鑑賞することに。人形から発せられる静謐で不思議なエロティシズムに思わず魅き込まれそうになる。危ない、危ない。

2013/01/17

高校生の時に読んで以来の再読。30種類ものコンプレックスの解説が興味深く、全体通して面白いしわかりやすい。ただ少女や人形への愛情の根っこにある自己愛はあくまでもエロティックな視点からに限定したものなので偏ってるものの痛快だった。近親愛についての考察はなるほど納得。しかしながら本書発刊から20年以上が経ち、さらにフェティシズムの種類も多様化した現在、”女は妊娠すれば存在価値のなくなるオブジェでしかない”という意見はちょっと乱暴に感じた。それにしても何十冊もの本がどんどん挙げられるので読みたい本が増えて困る。

2014/04/01

青蓮

少女、人形愛、幻想文学、異端なるもの、香りの官能性、近親相姦の夢ーー澁澤氏の偏愛するものを集めた、彼自身のユートピアを表したようなエッセイ。処女生殖については最早笑い話だけれど、それでも当時大真面目に研究をした彼等には何だか頭が下がる思いです。一番興味深く感じたのはストリップ・ティーズの哲学。澁澤氏は男性なので男性目線から語られているけれども、これが女性目線であったらどうなのだろう?と興味がわく。エロティシズムはその先を想像させる「余韻」がなければ成立しない。それが妙に人間らしく思えるのは私だけだろうか。

2016/10/15

夜間飛行

《少女という存在自体が常に幾分かはオブジェである》と著者はいう。現代において男性リビドーに働きかけるのは、女性そのものより女性の断片になってしまった事を、むしろ肯定しているのだ。オブジェに成りうる少女は空想の中にしかおらず、それを現実化しようとする途方もない夢が男の性を支配しているのは確かだろう。勿論その欲望は挫折するしかない。四谷シモンの少女人形はエロというには余りに可憐であり、存在してはいけないような悪の光を帯びている。存在の根拠を奪われた人形は、現代に生きる我々の形代であり、時には女神にさえ思える。

2017/03/07

YM

あー、澁澤先生の「少女コレクション序説」って講義あったら絶対受けたい!一般教養でやるべき!処女生殖とかピグマリオニズムとかマンドラゴラとか知らないことばっかりでとっても勉強になりました。三島由紀夫がビアズレーの描いた「椅子のサロメ」の卑猥さを教えてくれるくだりも最高!サロメ見返したけど分かんなかったもん。まさかサロメがアレな絵だったなんて。まだまだ味わい尽くせてないな。あー、いちいち引用される本が読みたくなっちゃうから困るんよなあ。

2015/01/06

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