行き暮れて雪 (中公文庫 A 15-10)
行き暮れて雪 (中公文庫 A 15-10) / 感想・レビュー
fritzng4
久々に読む野坂。やっぱり面白い。改行なしの初期の文体とは異なれど、圧倒的で濃密な青春の記録。戦中戦後、神戸新潟東京と渡り歩き「流されるまま出くわした」ことが結果的に「努めて奔放無頼な人生を選択」したように受け取られる。主人公の名前は違うがほぼ自伝、気に入られようと金で人を釣り、悪い方に考えれば人生そう悪くはならない、でも踏み出す前には悩みに悩む。いかにも野坂らしい。それにしても微に入り細に入りとんでもない記憶力、飯に映画に小説にたくさんの固有名詞。新潟高校の面々の教養の豊かさにも驚くばかりだ。
2022/10/31
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