潤一郎訳 源氏物語 (巻2) (中公文庫 (た30-20))
潤一郎訳 源氏物語 (巻2) (中公文庫 (た30-20)) / 感想・レビュー
syota
第2巻は「胡蝶」まで。ここまでの『源氏物語』は”源氏を取り巻く女たちの物語”と言っていいと思う。光君が、女と見ると理性も立場も忘れてしまうしょーもない男にしか見えないのに対し、女たちは光君との関わりを通じて各々の性格や生き様が浮き彫りになり、陰影のある生身の人間として読み手に迫ってくる。普段は笑いものになっている末摘花でさえ、「蓬生」では逆境に健気に耐えるヒロインとして、読み手に感銘を与えてくれる。そう考えると光君は、真の主役である女たちを登場させるための”狂言回し”の役目を担っているようにも感じられた。
2020/06/04
かごむし
世上流布されている源氏物語のイメージはだいたい1巻までのようで、2巻は大河の流れを思わせる大文学の感があった。丹念に貴族社会が書き込まれているからこそ、人間の姿がありのままに映し出されていて、作中の人物のかすかな、なかなか言葉として表現しにくいような複雑な心の動きがビンビンと伝わってくる。すごい作品だなあと感嘆しながら読み終えた。読むのに体力は確かに必要だけれど、訳文はもう現代文とそんなに変わらないくらいに慣れてきた。3巻からどんな物語が綴られていくのだろう。期待に胸が膨らむ。ここまで読んできてよかった。
2015/08/12
こうすけ
谷崎源氏、第2巻。めちゃくちゃ面白かった。源氏は一回流されて、また戻ってくるのか。公私ともに全盛期を迎え、ハーレム御殿を作り上げる。嫉妬する紫の上がかわいい。なぜか醜女・末摘花をバカにしつつ優しい。個人的に、玉鬘の巻がベスト。政治的な変動も大きく、かつての味方が敵になってゆく切なさ。世代交代も行われ、昔みたいな振る舞いをしようとする光源氏がちょっと気持ち悪がられるのも面白い。色々と、物語上のターニングポイントを迎えた源氏。これ以上面白くなれるだろうか。
2022/11/30
Tai
光源氏自身が恋に悩み心を煩わせていたものが、年を重ねて女性を惹きつけることが難しくなってきたことを自覚しつつ、権力者として影響ある人たちの心を読んであれこれと再配するように。登場人物が様々な背景を持ちながら絡み合い、面白くなってきた。
2022/11/30
tokko
第二巻は須磨、明石と源氏の不遇な日々からスタート。しかしここから明石の君と出会ったり、夕顔の娘である玉鬘が登場したりと人物が複雑に入り乱れてくる。正直、だんだんと頭がこんがらかってきて「これ、誰だっけ?」となってくる。
2021/04/29
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