語りの海吉本隆明 1 (中公文庫 よ 15-3)
語りの海吉本隆明 1 (中公文庫 よ 15-3) / 感想・レビュー
フリウリ
「事象」を「概念」によって理解するのが哲学者。吉本は、「共同幻想」「対幻想」「指向変容」「グラフト(接木)国家」などのさまざまな概念を作成・使用して、国家形成にかかわる事象を解釈しています。概念をつくる、適用する、解釈する、という哲学のダイナミズムを堪能しました。8
2024/07/03
ゆーいちろー
久しぶりに力読みの読書。講演を起こした平易な文章にも関わらずこんなに手こずるとは我ながら情けない。敗因はもちろん基礎教養の無さだが、一つには本書で取り上げられている「国家」「共同体」といった概念に関心が薄いこと。そして、筆者の主要著書である「共同幻想論」ぐらいは読んでないと話にならないということである。本書の一連の内容から推測するに、「共同幻想論」とは一種の構造主義的試みなのだと察する。もしかしたら、吉本隆明を読み直すことによって、日本における構造主義受容の一端が推し測れるかも知れないと感じる。
2013/05/02
bittersweet symphony
1995年に発売された吉本隆明さんの講演集全3巻の1巻目。テーマは家族・親族・宗教儀礼・国家の(共同)幻想を可能な限り要素に分解して分析、元の講演は「共同幻想論」が出された後の1970年前後(吉本さんが45歳前後ということになります)におこなわれたもの。テーマすべてに直結する対象としてまさに本土復帰せんとしている南島・沖縄と天皇制とを通時的にも共時的にも等価に見る視点が強調されています(どちら寄りの言説も相対化・無化する視点ということになります)。
2012/02/23
感想・レビューをもっと見る