乱菊物語 (中公文庫 た 30-26)
乱菊物語 (中公文庫 た 30-26) / 感想・レビュー
双海(ふたみ)
戦乱の室町時代、播州の太守赤松家と代官浦上家の深核な確執、謎の海龍王と遊女かげろうの伝奇物語など、史実、伝説を題材として、自在な想像力で描き上げた異色の娯楽大作。後篇を待たれながら、なぜか前篇で中断されている。(カバーより)
2014/10/01
桜もち 太郎
まさか・・・。最後の一文に「前篇終わり」。昭和5年の未完の作品だった。続きが読みたい・・・。物語は室町時代、藩主と執権の覇権争い。その争いは、どのようないい女を手に入れるか。くだらないと言えばくだらない。それぞれの家来二人が京の都に貴賓のある美しい女性を探しに行くところは、何ともゆるく滑稽だ。見つけた女性を比べ合い、執権職が藩主の女性を拉致する。怒った藩主が蜂起する所で終わってしまった。谷崎の他の作品同様、女性崇拝がやはりポイントとなる。排泄物さえ香しい!という相変わらずの変態具合だ。続きが読みたい・・。
2015/01/09
ネコ虎
大衆小説。別にバカにしているわけじゃない。いつもの谷崎と違ってちょっと違和感というか不思議を感じただけ。最初は弥次喜多道中の趣が感じられたが、徐々に伝奇小説のような波乱万丈、伏線が張られ、どう話が展開していくか興味津々、といったところで前編おしまい。配役の紹介された程度で、まだ全体の3分の一程度しか進捗していない。別に途中で谷崎が死んだわけじゃあるまいに、なんで続きがかけなかったんだろうか。現代作家が競作でこの続きを書かせてみると面白いんだが。どこかの出版社が企画しませんか。
2016/05/22
Noelle
なかなか手に入らず、気になっていた作品。開けてビックリ、あの大谷崎がなんて軽快に楽しそうに筆を進めること。室町時代の播州のお殿様と執権との権力争いから、海賊やら遊君やら訳のわからない幻術師やら、、まあ、それはそれは賑やかな登場人物とプロットで、一大時代物エンターテインメント、ロマンサスペンスの体。面白くなってきた〜ところでプツリ、前編終わり。まあ、残念!胡蝶の行く末は如何に?と気になりすぎです。未完で何十年もほったらかした挙句、続編を書く気はあったようだが、仕上がらず。水村さんのように誰か続きを是非!
2017/05/08
Melody_Nelson
「武州公~」みたいのかと思ったら違った。谷崎っぽさ要素は薄目で、エンタメ系なのだが、本来は最終的に結びつくであろう話が放っておかれたまま終わっているので、何とも印象が悪い…。怪しい公家(飛鳥井家?)の話や、幻術使い、海賊など、それぞれ楽しめるだけに残念。話が盛り上がってきたところで中断とは。完成してたら、かなりの大作になったのだろうか。
2018/08/07
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