アルファルファ作戦 改版 (中公文庫 つ 6-15)
アルファルファ作戦 改版 (中公文庫 つ 6-15) / 感想・レビュー
GaGa
これも久しぶりの再読。「一万二千粒の錠剤」は読むなり掲載誌の編集長が激怒したとか、なぜだか作者も良くわからないそうだが、読者としても良くわからない(笑)「近所迷惑」は筒井氏初期短編の中でも最高傑作。「公共伏魔殿」「懲戒の部屋」なども傑作。
2013/04/06
空猫
初期の未読作品。再版が嬉しい。強烈な社会風刺とパロディ9編。放送局の裏事情?あるある?[公共伏魔殿]あのいいまわしは結局一種の思考停止ではないか(p172)[旅]流刑といっても、時間的空間的意味での流刑ではありません…いわば心理劇による精神的流刑です(p205)。[懲戒の部屋]…最近は男がシートに掛けていると非人扱いされる…立っている女から立ちなさいと命令されることもある(p257)男にとって痴漢冤罪くらいの恐怖はない。筒井氏の老人、女性ネタは不変であり傑作。
2016/07/15
空猫
ネット上で飛び交う軽薄愚劣な罵詈雑言。でも,数十年前からはるかに鋭い刃を軽々と使いこなしてみせていた筒井康隆が見える。ということは,不正だらけの組織に阿る方が正解という腐りきった状態であることも,正義という看板を利用して暴力を導入するだけの連中が却ってそうした最低の組織の延命に力を与えるだけの結果に終わっていることも,「当たり前のこと」でずっと変わっていないのか。もっと成長しないといけないのだろうな。
2017/10/19
さらば火野正平・寺
これはいい。9本の短篇で巡る諷刺地獄絵図。『慶安大変記』での大学生vs予備校生の死闘。当時のNHKを批判した『公共伏魔殿』のクライマックスのグロテスクな描写。『一万二千粒の錠剤』の醜悪な人間関係(これはオチがわかったが)。『懲戒の部屋』の女性嫌悪。ラストの『色眼鏡の狂詩曲』のいびつな他国理解。筒井康隆ならではの世界。ネタは古いのに、古さが問題にならない。解説が曾野綾子というのも納得。
2012/02/10
イツキ
現在の社会の一部分を極端に大げさに描いたような短編と全方位に喧嘩を売っているような印象を受ける短編とが入り乱れた強烈な短編集でした。懲戒の部屋と一万二千粒の錠剤の人間の醜い部分をこれでもかと強調しているかのような世界などは読んでいてぐったりします、だからと言ってありえないと笑い飛ばすことができないことにゾッとしますね。
2018/10/30
感想・レビューをもっと見る