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ものぐさ精神分析 (中公文庫 き 3-3)

ものぐさ精神分析 (中公文庫 き 3-3)

ものぐさ精神分析 (中公文庫 き 3-3)

作家
岸田秀
出版社
中央公論新社
発売日
1996-01-18
ISBN
9784122025189
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ものぐさ精神分析 (中公文庫 き 3-3) / 感想・レビュー

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のっち♬

社会にしろ個人にしろ私的幻想を共同化させる人間の性質を毎度説明していてくどい、昨今の読者は新鮮味を感じないだろう。寧ろ近代日本史や進化論や癌といった専門外への試論の偏執性や、フロイトに注釈を加えて何でも片付けるナルチシズムをスパイスとしてどこまで楽しめるかだと思う。批判にしても何故にここまで見下すのかと思えば著者が自己嫌悪家だった。ここからラスト2割は神経症既往に基づいた持論なので生々しい。依存対象を母から心理学へすり替えただけに見えるが、ペシミスティックなものぐさ自意識は大抵こう満たされて自己完結する。

2023/03/15

パフちゃん@かのん変更

心理学者。予想した内容と全く違ったが、面白い。「日本近代を精神分析する」の中では日本全体を精神病患者のようにみて、ペリーによる開国のショックから精神分裂症になり対米英宣戦布告はまさに分裂病の発病。一億玉砕と言っていたものが敗戦とともに、手のひらを返したような平和主義。云々。最後のほうの短文集も面白い。小学校、中学校とよく教師に殴られた。集団の規律を乱すかららしい。大学では殴られなかったが、その後大学の教師になると、今度は学生から殴られるようになった。「お前の説は気にいらぬ」とか「ふざけすぎる」とか。

2016/12/28

とびほびこび

某マスターから紹介頂いた本。この本を読んでいるとページから手がニュッと出て来て引きずり込まれるような感覚を受ける。著者が掲げる唯幻論、その理論を表した入り口的であろう本書は、時に高尚な大学教授の講義を受けているような、時に激情な革命家の演説を聞いているような、時に居酒屋でくだを巻く酔っぱらいの言葉を聞いているような(失礼)様々な場面に出くわすが、不思議とその言葉には説得力がある。著者と同郷の身である事に尊敬と同時に畏怖の念を抱かずにはいられなかった。

2014/12/12

更紗蝦

約20年ぶりに再読しました。元々読んだきっかけは精神分析がらみの部分に興味を持ってのことだったのですが、育児に関する文章(「何のために親は子を育てるのか」)は育児に苦しんでいた時期は心がかなり救われました。改めて読み返してみると、日本の近代史についての文章は、初出が1975~1976年であるにもかかわらず、現在の日本の右傾化について分析しているとしか思えない内容で、つまりは日本国民の病理(著者は「精神分裂病的」と表現しています)はこの40年間、何も改善されていないということになります。

2017/08/29

Takayuki Oohashi

途中までしか読んでいないのですが、なぜ最後まで読まなかったということを述べるために感想を書きます。この本はこの世の中の見方を提示した本だと思います。それもかなり怜悧に過酷にです。僕はなぜ本を読むかというと、ある面から言えば、この世の中の理解出来ない個人的な体験を自分流に消化するためなのです。それは傍からみたら自己中心的な盲信でも妄想でもいいのです。この本はそれを破壊します。物事を客観的な視点で見ることをでき、それで知的な好奇心が満たされる人にとってはこの本は刺激的な良書ですが、僕のような愚者には不適です。

2016/10/31

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