天の川の太陽 (上巻) (中公文庫 く 7-19)
天の川の太陽 (上巻) (中公文庫 く 7-19) / 感想・レビュー
NAO
壬申の乱を経て大海人皇子が天武天皇として国を統べるまでを描く歴史小説。位についた天智天皇が、次期天皇候補の皇太弟大海人皇子にではなく息子に天皇位を継がせたいと密かに思い始めたときから、来るべき王位継承争いに向けての緻密な準備を進めていく大海人皇子の心理が丹念に描かれていく。どうして自分よりはるかに優位だった大友皇子を倒すことが出来たのかという推理から組み立てられた大海人皇子の性格設定はなかなか興味深いが、まだまだ忍耐のときは続くはずで、下巻の展開が楽しみだ。
2017/05/07
aloha0307
社会派小説の巨匠:黒岩重吾氏が手掛けた歴史小説第一弾📕主役は大海人皇子(後の天武天皇) 上巻では天智天皇が亡くなる672年までを描く よくぞここまで調べたという程細かく様々な人物の動きが躍動します。さあ下巻は、いよいよ壬申の乱ですよ😊😊
2022/01/13
ブラックジャケット
そういえば壬申の乱の歴史小説って呼んだことがないなあ、とポッカリ空いたスペースに御大の大著の文庫本がストンと落ちた。大化の改新後の政情から大長編は幕が上がった。蘇我入鹿を誅し、天皇を中心とする律令国家作りが始まった。中大兄皇子は弟の大海人皇子を右腕とし、自らの姉妹を嫁に下す。この古代人の近親結婚は驚かされるばかりだが、自らの子を有力者に嫁がせるのは当時のスタンダード。緊迫する国際情勢が深く影響する。百済の要請で半島に出兵した日本だが、白村江で大敗北。皇統のラインから大海人は外され、天智から大友皇子へ。
2020/04/04
浦
天武天皇が皇子だったころ。誰もが認める器を持ちながらも絶対権力者の兄、天智天皇におびえ、妻を奪われても、兄の子である大友皇子に皇太子の座を奪われ周囲から軽んじられても、兄に滅ぼされぬよう感情を隠して細心の注意を払い、部下とともに都を脱出する。どうせヒーロー譚だと後回しにしていたが、こんなに屈辱に耐えていたとは。著者・黒岩重吾はどんな英雄も美女も老後を美化しない。本作で老醜を晒している天智天皇も中大兄皇子伝では雄々しく、健気で美しい讃良妃も大津皇子の物語では変わり果てた姿になっている。もちろん天武天皇も…。
2017/12/14
RASCAL
上巻だけで660ページ、長かった。いよいよ壬申の乱と思って読み始めたが、時代は658年から壬申の乱前夜まで、前に読んだ「中大兄皇子伝」や「茜に燃ゆ」の下巻と同時代。同時代の長編を違う主人公で3つも書くなんて、黒岩さん、ご苦労さんです。天智天皇、無理な外征と子供の溺愛、孤独な独裁者、晩年の豊臣秀吉みたいです。さあ、下巻いってみようか。
2013/06/23
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