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日日雑記 (中公文庫 た 15-5)

日日雑記 (中公文庫 た 15-5)

日日雑記 (中公文庫 た 15-5)

作家
武田百合子
出版社
中央公論新社
発売日
1997-02-18
ISBN
9784122027961
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日日雑記 (中公文庫 た 15-5) / 感想・レビュー

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白玉あずき

これと言って面白い事が起こるわけでなし、普通の日常なのだが面白い。人間観察の妙と視点のずれか。武田百合子氏、なかなかのお口の悪さ。これ現在のSNSにでもupされたら炎上しちゃうのでは。「上から目線」だとか「何様」だとか、あれこれ書き込まれるのが目に見えるようだ。そう思うと本当にネットの大衆化とか、不寛容の時代なんだなあと思う。「次のテクノロジーで世界はどう変わるのか」を読んでいて、時代との不適合と若い人たちの前向き思考に疲れ果てたので、この本でほっと一息つけました。もはや未来への期待よりも過去の郷愁。

2020/12/10

tomo*tin

誰にでも同じ様に朝は訪れ、何をしていても同じ様に時間はすぎ、腹が減り、眠くなり、日が暮れる。そうそう目立った事件が起きるわけでもなく、派手な感情の揺らぎがあるでもなく、そこにあるものを見、聞こえるものを聞き、真っ直ぐに受け取り、受け入れる。他者や世界に対して誠実である前に、己に対して誠実であること。その潔さ。その真っ当さ。心に沁み入る言葉たち。百合子さんの最後の日記はそういったものの宝庫である。幾度読んでも面白く、幾度読んでもしんみりとする。背筋がしゃんとする一冊。大好きです。

2009/08/27

あんこ

富士日記を読みたいのでその前に他の随筆を読もうと思っていました。これは武田百合子さんの最後のエッセイだったのですね。あとがきの日付を見てしんみりしてしまいました。『日日雑記』とはよく言ったもので、日常に関するあれこれが飾らず描かれています。本当に日記を覗いているみたいでしたが、郷愁のようなにおいを感じました。娘のハナさんとのやり取りがおかしかったり、時折出てくる旦那さんとのエピソードもじんわりいいなあと感じました。また、ところどころにメモ書きのように書かれる食べものー食べたくなりました。特にカレー。

2014/08/18

メタボン

☆☆☆☆ 日記の形態を取っているが、内容が深いエッセイである。物の見方、事象の捉え方、感じ方について、諭されているような感覚が読んでいてある。そして感性豊かな文章。「柝(ひょうしぎ)が一つ鳴る。客席のざわめきがひいて、柝が二つ鳴る。何だか、豆の煮えてくるみたいな匂いが漂ってくる。満員の客が吐く息の匂い。」「獣の腹毛をむしって吹き散らばしたような雲が、月の表を早く動いてゆく。」

2022/05/27

天の川

肩の力を抜いて、身の回りで起きる小さな出来事や人との会話を楽しんでいる…武田百合子さんのそんな日々の過ごし方が美しいなと思う。どんな些細な出来事も百合子さんの筆にかかると飄々とした可笑しみを持つ。中でも500円のすき焼きでもてなしてくれたOさんの話に笑った。

2018/06/01

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