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使いみちのない風景 (中公文庫 む 4-4)

使いみちのない風景 (中公文庫 む 4-4)

使いみちのない風景 (中公文庫 む 4-4)

作家
村上春樹
稲越功一
出版社
中央公論新社
発売日
1998-08-18
ISBN
9784122032101
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使いみちのない風景 (中公文庫 む 4-4) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

私たちから見ると、村上春樹くらい頻繁に旅をし、また住む場所を移動する人はいないように思う。ところが彼はそうでありながらも、本質においては「定着型・農耕型」なのだという。日本の文学史上、名高い旅人を想い浮かべてみると、それは西行であり、宗祇であり、芭蕉である。たしかに彼らの旅のスタイルと春樹のそれとは本質的に違っているだろう。宗祇はいくぶん様相を異にするが、西行と芭蕉においては旅そのものが、すなわち彼らの人生だった。一方、春樹は本質的にはきわめてストイックで、またスタティックな作家なのだとあらためて思う。

2013/03/16

おしゃべりメガネ

'読んだ'というほどのページ数や文字数ではありませんが、読了は読了なので。社会人成り立ての頃に読んだ記憶がありましたが、内容はほとんど憶えておらず。最近、個人的にちょっとカメラをイジりだしたので、今のこのタイミングで読むとしっくりきました。写真も素敵で、飾り気のないナチュラルな春樹さんの文章がココロにスッと染み渡ります。傑作であり、代表作の『ノルウェイの森』『ハードボイルド〜』が書かれた頃のちょっとした紀行文なので、それはそれでありがたみみたいなモノを感じました。色々と「使いみちのない風景」を撮りたい。

2021/07/04

chantal(シャンタール)

村上さんと全く同じことを思っていた。どんなに美しいと思った風景も、写真に撮ると実際に見た美しさとはどうしても違うものになってしまう。記憶の中に残っている風景こそが一番美しいのだろう。旅行先で見る風景、普段からいつも目にする風景、どちらも永遠ではない。だからこそしっかりと心に焼き付けておきたい。「人生においてもっとも素晴らしいものは、過ぎ去って、もう二度と戻ってくることのないもの」この言葉に私が村上文学の全てだと思っているものが込められている。そう、それは「喪失の美学」。去りゆく2019年を慈しみつつ読了。

2019/12/31

アキ

「使いみちのない風景」1994年・「ギリシャ島の達人カフェ」「猫との旅」1984年の3篇。稲越功一の美しい海外の写真と村上春樹の文章。7篇の長編小説を同じ場所で二つの小説を書いたことはないという。ギリシャのフェリーボートで見た水兵の眼差しや、フランクフルトの動物園で見たアリクイの夫婦、使いみちのないそれらの風景をふと思い出すことがある。ひとは旅に出て、そこでしか見ることのできない風景を必要としているのだ。「人生においてもっとも素晴らしいものは、過ぎ去って、もう二度と戻ってくることのないものなのだから。」

2020/09/12

SOHSA

約1年ぶりの再読。1年前は『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』をまだ読んではいなかった。当時は村上春樹の長編では『ねじまき鳥クロニクル』に心酔していて、なぜか『世界の終り~』にはなかなか手が伸びなかった。他の村上作品を一巡り読み終えていよいよ残りは『世界の終り~』だけとなり、先日、読み終えた。読み終えてふと本書『使い道のない風景』を思い出した。確か『世界の終り~』について触れられていたなと。改めて読み直してみると、前回見えなかった(→)

2014/11/21

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