潤一郎ラビリンス (4) (中公文庫 た 30-32)
潤一郎ラビリンス (4) (中公文庫 た 30-32) / 感想・レビュー
KAZOO
谷崎の得意の分野なのでしょうが私には刺激が強すぎて読むのに疲れてしまいました。谷崎には自分の肌に合うものと合わないものとはっきり分かれてしまいます。そのような点では三島由紀夫と似ている面があるのかもしれません。これは苦手でした。然し人間のどうしようもない面と情念ということを書いているということでほかの人にはあまりないので大作家のなのでしょうね。
2014/11/22
ちいらば
人の業の凄まじまさというのか。主人公たちの理解しがたい部分に読めば読むほど興味をおぼえる。
2016/03/27
こうすけ
近代情痴集、というテーマで集められた短編集。いわば、谷崎潤一郎そのものな作品群。なかでも『お才と巳之助』が凄まじい。妖女にほれ込んだ金持ちのぼんぼんの愚鈍さがこれでもかと描かれ、やがては女を恐れさせるほどの愚かしさにまで達する。これぞ、という感じ。『痴人の愛』に近いものがある。そのほかの作品では、女性の容貌とか脚とかの描写があまりに過剰で生々しく、笑えるほどだった。谷崎味が濃く、若干胃もたれしました。
2023/06/19
きつね
「脚は今にも可愛い小さい手の中から二本の趾を擦り抜けさせようとして、圧し着けられたぜんまいの如く伸びんとする力を撓めさせつつ、宙に浮いた膝頭をぶるぶると顫わせて居ます。…全身をくねくねと彎曲させて、鞭のような弾力性を見せている所を、其の特有の美しさを傷える事なしに描き出すのは遥かにむずかしいに違いありません。其処には「柔軟」と共に「強直」があり、「緊張」の内に「繊細」があり、「運動」の裏に「優弱」があるのです。」(224.富美子の足)
2013/11/14
訪問者
4巻は近代情痴集と言う事だが、読んでみると2巻のマゾヒズム小説集とあまり区別がつかない感じである。ともあれ「お才と巳之介」、「富美子の足」と谷崎文学のエッセンスのように作品が収録されている。
2019/05/14
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