斑鳩王の慟哭 (中公文庫 く 7-22)
斑鳩王の慟哭 (中公文庫 く 7-22) / 感想・レビュー
aloha0307
厩戸皇子(現在は聖徳太子とは呼称しないそうです)の 悲劇は、蘇我馬子の姉妹:堅塩媛と小姉君(どちらも欽明天皇妃)の血を父方母方双方から受け継いだことですね📕 当時は叔父と姪はおろか異母兄第姉妹でも頻繁に婚姻していた。ゆえに王家(天皇という呼称は当時まだない)と蘇我氏の家系図は殆ど重なり合っています。
2022/01/20
浦
これは絶版じゃなかったので購入できた。聖徳太子の少年から三十歳くらいの頃を希望を込めて描いた前作とは違い、三十八歳から太子の死、そして子どもたちが殲滅されるまでを描いた本作は、物凄く暗い。国家の理想は掲げるものの、家族や自分の領地といった身近なところすら、人間の醜さを思い知り、まったくうまくいかない。蘇我馬子は脳卒中、穴穂部間人皇女は痴呆、推古天皇は醜悪になり、馬子も太子も息子たちには良い点は遺伝せず、焦った息子たちは必死に試行錯誤しながら、結局は滅亡への道をひた走るしかない。十分に共感できた物語でした。
2017/10/29
いいほんさがそ@蔵書の再整理中【0.00%完了】
*上宮王家(聖徳太子の一族)滅亡*絶対権力者、蘇我馬子によって理想がはばまれる聖徳太子。彼は一定の成果を上げつつも、しだいに厭世観を募らせていた。そして失脚を狙う馬子はこの時を待っていた!今宵、恐るべき陰謀の夜が幕を開ける!?(紹介文・他より)――これは傑作!しかし、なんということか…。もはや”諸行無常”としか言いようがない! ⇒続き
2014/04/09
再び読書
推古女帝の執着心により、聖徳太子は大王につけずに人生を終える。山背大兄王と蝦夷の対立が激化してやがて上宮王家は滅亡する。蘇我氏との向き合い方、距離の取り方を間違った山背大兄王は滅びる。聖徳太子の続編ともとれる作品。
BIN
聖徳太子の続編で太子の全盛期過ぎから嫡子の山背大兄王が蘇我入鹿に殺されるまで。遣隋使の派遣辺りから推古天皇や蘇我馬子により政治から距離を置かれ、また理想の政治を志すも現実との矛盾に突き当たるし、推古天皇に憎まれてる母親からは愚痴を聞かされて悩みぱなしの聖人と程遠い人間の厩戸さんが見れます。山背大兄王にしろ蝦夷にしろ偉大な親と比較され続けプレッシャーがあって苦しんだんだろうなあ。それにしても推古天皇の狂気じみた嫉妬心はえげつない。
2017/04/18
感想・レビューをもっと見る