潤一郎ラビリンス (6) (中公文庫 た 30-34)
潤一郎ラビリンス (6) (中公文庫 た 30-34) / 感想・レビュー
(C17H26O4)
語り手が「タニザキさん」なので、どこからが創作か曖昧な雰囲気がある。「タニザキさん」は西洋人や印度人と交流するのだが、皆いかがわしくインチキ臭い。そうと知りながら騙されているようなところがユーモラス。『ハッサン・カンの妖術』はだが、本物の妖術を見させられたような妖しさがある。自ら実験台となりマティラム・ミスラにかけられた通力で、予が亡き母の輪廻の姿、美しい鳩と会う場面は、創作ではないような不思議な感じがして余韻が残る。『天鵞絨の夢』は耽美。温秀卿と寵妾の快楽の道具となっていた奴隷の少年と少女の告白。
2020/05/04
KAZOO
この巻には、6つの短篇が収められています。海外、特に中国やインドへの憧憬というか作品にそのような感じを受けます。読んでいて谷崎の文章は本当に読んでいて味わい深いものであると感じられます。個人的には「玄奘三蔵」が気に入りました。
2014/12/21
蛸墨雄
潤一郎の愛した異国はどこだったのだろうか?アメリカが抜け落ちていることに何か違和感を覚えたが…。短編6話のこの『異国綺談』最後の「天鵞絨の夢」の後半に出てくる奴隷の証言という部分、なかなか面白く読んだ。奴隷って黒人だけのことだと思っていたが、アジアでもあったのかと、次手に取る本『家畜人ヤプー』へと誘ってくれた。
2017/11/17
訪問者
6巻は異国綺談。「ハッサン・カンの妖術」、「秦淮の夜」、「天鵞絨の夢」とこの巻でも谷崎潤一郎の奇才は冴える。
2019/05/16
桜もち 太郎
「独探」がよかったかな。他の作品も綺麗な異国の情景が目に浮かぶようだった。
2013/08/23
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