潤一郎ラビリンス (8) (中公文庫 た 30-36)
潤一郎ラビリンス (8) (中公文庫 た 30-36) / 感想・レビュー
KAZOO
この中には探偵小説というか犯罪小説なのでしょうね、7編の短編が収められています。ほかのアンソロジーで読んだ結構知られている「途上」は論理的な分析が面白く感じました。「私」も楽しめたし、「柳湯の事件」などは乱歩を彷彿としてくれました。
2015/01/20
色々甚平
探偵ではなく犯罪小説集。ミステリではなく犯人たちの動機の独白や、犯行実行中の心理描写が描かれている。新聞やニュースなどの短い言葉では意味不明にみえる狂人の腹の中を読むことができる。映画「ノーカントリー」に出てきたシュガーのような経済成長後に生まれたシリアルキラーと近く感じられる「在る罪の動機」は、それまでになかった殺人動機として感じられたのではないだろうか。
2019/06/04
SAT(M)
谷崎が犯罪小説を書くとこうなるんですね。犯行の動機に重点が置かれ、とてつもなく内省的。愛と憎、信と不信が同居した、一言では説明のできない、他人には理解されにくい複雑な動機で犯行に至るといった作品が多かったです。「呪はれた戯曲」、夫婦の微妙な距離感を丁寧に描きながら、クライマックスでは乱歩チックなトリッキーな展開が用意してあり、良い意味で純文学と大衆小説のキメラといった印象。「柳湯の事件」もシュール・フェチ・グロの大正アングラ感が全面に出ていて、強烈です。
2016/07/24
訪問者
この巻のテーマは犯罪小説集。「柳湯の事件」、「呪われた戯曲」、「途上」等の極上のミステリーが収められている。
2019/05/23
蛸墨雄
この手の作品もものの見事!という感じがします。読みやすい文章のお手本であると思います。
2017/10/17
感想・レビューをもっと見る