道誉なり 上巻 (中公文庫 き 17-4)
道誉なり 上巻 (中公文庫 き 17-4) / 感想・レビュー
Haru
南北朝のばさら大名、佐々木道誉。伊東さんの高師直を読んだら南北朝ものが読みたくなり再読。北方さん好みの、権力になびかず、商いにも目を向け領内経営を行い、己の信じるものを持ち、漢としての自己が確立されている道誉。足利尊氏とのある意味戦いのような交流も面白く、上巻では道誉に分がありというところ。心の中では相手を好ましく思ってるのに、相手を屈服させ、従わせることでしか気持ちの安定を得られない尊氏が厄介。(笑)しかし、これを読むと、赤松円心とか北畠顕家とか楠木正成とかさらに読みたくなるので困るなぁ。(笑)
2017/09/25
shincha
久しぶりの北方謙三の作品。彼の中国歴史ものはすべて読んだ。歴史小説は好きだが、この時代、鎌倉後期から戦国時代初期までの歴史ものは好きではない。義に沿ったものよりも戦略、策略、騙しあい、寝返り、謀反があたりまえの時代。形骸化した公家と武力を持った宗教人の僧侶と、武士とが、利己だけのために戦う時代。最初は、本作もなかなか入り込めなかった。途中から佐々木道誉の人物像が見えてくると面白くなってくる。京で幕府を立ち上げた足利尊氏とこれからどのように絡んでいくのか?楽しみだ。下巻に進みます。
2021/03/23
姉勤
太平記に手をつける前にと、佐々木道誉。彼が南朝側に立たなかったからとはいえ、この時代に触れざるを得ない、後醍醐帝と楠木正成に対しての記述は異様に少ない。その分、道誉の男ぶりと、室町幕府当初の足利尊氏・直義兄弟、高師直の三位一体の中での関わりを通じて、権謀と武威に少しても隙を作れば食い尽くされる世に、己を矯めず、偽らず、かといって角も立てず、その代わりモノを言わせない実力を示す。次第に亀裂を広げていく三者の中で、道誉がバサラをどう通していくか下巻に続く。
2019/02/25
とも
★★★☆いま積読で積み上がった小説が、北方謙三だけで30冊以上になる。そのうちのどれかを読もうと考えた時、今特に気になるのが鎌倉から室町への移行期の魅力あるひとびと。なかでも異彩を放つのが、当作品の主人公で「バサラ大名」の代名詞でもある佐々木道誉。上巻はテンポもゆっくりで、また一般的な作品である尊氏や楠木からの視点とは異なり、時代を俯瞰的に斜めから見る視点がなかなかに面白い。このまま引き続き、下巻に突入。
2019/09/01
はらぺこ
相変わらず足利だけの場面はダルイ。北方謙三は足利が嫌いなんやろか?佐々木道誉の「ばさら」っぷりを際立たせる為の手法なんやろか?とりあえず犬王・御世丸・義詮の行く末を楽しみにしつつ下巻へ。
2010/05/03
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