潤一郎ラビリンス (11) (中公文庫 た 30-39)
潤一郎ラビリンス (11) (中公文庫 た 30-39) / 感想・レビュー
YM
「人面疽」もいいけど、「青塚氏の話」がめちゃ好き!谷崎潤一郎得意のネッチネチした変態狂人炸裂!ここまで直接的に気持ち悪い作品あったかな。物語は中田という映画監督の遺書によってある秘密が明かされていく。中田はカフェで、妻であり映画女優由良子のファンだという男に会う。この男がめちゃヤバい!最初は紳士的な振る舞いだけれど徐々に本性を見せる。中田の撮る映画を何回も見ることで、由良子のことを中田以上に知り尽くしているらしい。ここから怒涛の屁理屈と説得力、ラストの異常なアレまですんごい!隠れた問題作?隠れてない?
2015/01/20
コットン
Podcastsの『朗読ふぁいる – 茗荷谷かぼすの朗読らいぶらりぃ』より短編の『人面瘡』のみ聞く。活動写真の中での世界が凄い。谷崎の良質な怪奇小説。
2019/09/26
こばまり
嗚呼ねっとり。大谷崎の手に掛かれば葛を纏った鱧肉でさえいやらしい。短編の変態性に酔い、映画愛溢れるエッセイでは共感頻り。「カリガリ博士」は私も十代の頃に授業で観た。その時の特別講師は四方田犬彦氏だった。思い返せばなんと豪華なひとときであったことか。
2016/09/09
KAZOO
短編小説が4つと映画に関する評論が6つ収められています。「人面疽」は谷崎らしさが出ていると思っています。また「青塚氏の話」も谷崎らしいですね。評論は結構映画好きだったことがわかるようなエッセイで楽しめます。
2015/02/20
桜もち 太郎
どうしても嫌いにはなれないのです。この変態性欲の方々。潤一郎先生そのものの様な気がします。実際にいるような、いないような、妄想が妄想を呼びます。妄想が本物の形を作り上げていきます。恐るべき執念です。この執念も潤一郎先生の持つものなのでしょうか。いや執念とは違います。これは性癖なんです。笑うことも馬鹿にすることも、嫌悪感を持つことも許されません。これが潤一郎先生なのです。先生は実在した人物で妄想の中の生き物ではありません。やはりすごい作家です。
2016/09/14
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