柳絮 (中公文庫 い 92-1)
柳絮 (中公文庫 い 92-1) / 感想・レビュー
miri
東晋から南北朝時代の謝道韞(しゃどううん)という婦人の物語。「柳絮の才」という女性が優れていることを表す言葉が残っているほど才媛として知られる。没年が409年なので、日本では古墳時代前期から中期、稲作が伝わり始めた時代。その頃の中国の名家に生まれ名家に嫁いだ女性から見る政治、世の中の移り変わりを身内の人物評と共に語るというスタイル。歴史は苦手、特に中国史はまっさらな知識の中で読み、興味本位が満たされた感。彼女の目から見る人物像が本当にこのような人物であっただろうと思わせてくれる愛情溢れる表現であった。
2024/04/14
衛兵
魏・呉・蜀の三国志の時代の次である晋の時代を舞台とする小説を探してたどり着いた一冊。もっとも、司馬炎が中国を統一してから司馬一族内の争いが激化し、北方諸民族の浸出を許した後である「東晋」の時代まで下ります。洛陽から今の南京にあたる建康(呉の建業)に逃れた晋の皇帝や貴族たち。その一人、王凝之に嫁いだ謝氏の娘の一代記。登場人物が全くわからないので検索しながらの読書となったが、なかなか楽しく読めた。
2020/02/22
よっちゃん
井上作品初読み。読む前に勝手に古代中国を舞台にしたファンタジー作家と思い込んでいた。一人の名門の女性の視点で語る歴史書。参考文献を下に断片を繋ぎ合わせながら物語を作られたのであろうと想像した。別の作品もこれから読み続けることになりそうな予感がする。良作。
2017/11/29
BIN
東晋時代に南征してきた秦の符堅を破った謝玄の姉を主人公に東晋時代の貴族たちの話といえば良いだろうか。 基本的には主人公の一族の謝氏と嫁ぎ先の王氏(舅が王義之)がメイン。この時代のことがよくわかるが、 ちょっと盛り上がりに欠けて、物足りない。
2012/03/16
Mana
東晋の才女「謝道韞」の一代記。東晋が滅亡し、劉裕が宋を建国後に人生を振り返っているので、全体を通して成るようにしか成らないというような諦めのような達観したようなものが感じられる。地味な感じだけどとても良かった。中公新書の南北朝時代(会田大輔)では2頁くらいで終わってしまった東晋の滅亡も、これだけ多くの人の人生が交差していたんだなと感慨深い。
2021/12/25
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