エルメスの道 (中公文庫 コミック版 た 1-23)
エルメスの道 (中公文庫 コミック版 た 1-23) / 感想・レビュー
かっぱ
高級ブランド品にはほとんど縁はないのですが、「地球へ・・」の竹宮惠子さんが描いた作品なので興味を持って読了。腕のいい馬具職人から始まったエルメス。時代がどう変わろうとも、常に職人の持つ技術を大事にし、その伝統を絶やさないことに専念してきた結果、いまのエルメスというブランドがあるのだと言える。伝統を守りつつ、アメリカでファスナーの存在を知れば、自社の製品に加えるなど、革新を続けながら、時代と共に歩んできたことが分かる。四輪馬車と従者を商標とするエルメスは、いまも馬具である鞍の工房と専門の職人を抱えている。
2019/07/15
陽子
竹宮惠子の漫画を久しぶりに手に取った。美しい画・線は健在で、懐かしく嬉しい気持ちになった。エルメスは恥ずかしながらブランドとしての名前しか知らない私であったが、これほどまでに芸術性に富み、なおかつ先代から子孫に至るまで、時代に応じた工夫と技術と知恵で構築された品々であることを知る事ができ感動した。馬具職人から始まった技術は未来にまでしっかり生かされ、揺るぎない誇りとポリシーがある。その製品を芸術品として眺めてみたいと思わされた。歴史背景を踏まえながら、職人の品々を描いた本書は漫画として絵が生きている。
2018/09/07
S.Mori
有名なブランドのエルメスの歴史を描いた漫画です。ヨーロッパの歴史を絡めて書かれているので、歴史好きの私は非常に面白く読めました。馬具屋として始まったエルメスがフランス革命や2つの大戦を経て、一流のブランドとして世界で認められるまでを描く胸躍る内容です。仕事のヒントにもなります。まず基本に忠実なことが大切です。エルメスの場合は最初の事業であった馬具の製造をやめることはありませんでした。それだけではなく、新しい分野にも進出する。これを繰り返すことで絶えず革新的な仕事を続けられます。再読したい本です。
2020/03/21
オサム兄ぃ
名にし負う最高級ブランドのエルメス。職人芸を継承・保存する企業姿勢に惹かれた。ナポレオンから書き起こされるフランス近現代史はややこしいが、後書きで「ああ、これは職人の歴史なのだ」とあるように、トップランナーが目線を定めて書き下ろしたマンガは素直に面白い。興味深かったのは、スカーフのお話。馬具メーカから出発したエルメス。スカーフは、唐突感が。事業範囲を拡張していく直線的な歴史だけでなく、本書の「男」道の華であるところの乗馬と、女性のイメージを代表する絹を「結婚させて」成功したのだという物語は納得であった。
2018/01/31
neimu
徳島県阿南市立図書館で読んだのは覚えているのだが、多分。SFが主流のイメージが強かった作者がこのような作品を書いたのに、軽い衝撃を受けたのが今でも記憶に残っている。ブランドもの全盛のバブルは終わっていたけれど、だからこそ、こういう本が出ても良かったのかもしれない、その時期に。
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