日本語はいかにして成立したか (中公文庫 お 10-6)
日本語はいかにして成立したか (中公文庫 お 10-6) / 感想・レビュー
へくとぱすかる
日本語タミル語起源説は、今でこそ忘れられた存在かもしれないが、神話の共通性の分析をはじめとする、日本文化の起源を探求する試みは、さすがに読ませるものがある。2002年の文庫化にあたって改稿されているので、新しい知見にもとづく論述も興味深く読めた。東アジア世界の変動が、日本語の歴史にも大きな変化をもたらしたことがわかるし、渡来系の人々がもたらした効果もかなり具体的に述べられている。今の日本語の姿は、けっして自然発生的なものではなく、歴史的にさまざまな外因の重なったフィルターを通して見た姿であるということだ。
2023/02/14
MrO
こういう壮大な絵を描ける学者ってもう出てこないのかな。恐ろしく広大な学識。
2022/07/25
bittersweet symphony
言語のような基幹的な文化ですら純粋培養的に生成する物ではないという当たり前の事実を詳細に検証していく内容。ヒトが育んできた文化というものは基本的にハイブリッドなものなのである。そう考えられない奇特な人が道を間違うわけですな。
2019/06/18
四四三屋
特に日本語の起源について関心が会ったわけではないのですが、読み進めるうちにドンドン面白くなっていきました。特に漢字は、三期にわたって系統の異なる渡来人が指導したためにその発音が微妙に違うこと、つまりは漢字に「呉音」というものが存在する明確な理由がはじめて腑に落ちた気がします。このように知っていると思っていることも、実際にはよく理解していなかったことがわかりました。本書は実に示唆に富む作品であった。
2015/04/29
skydog
私たちの言語である日本語の歴史の変遷について書かれている。まだ文字を持たなかった時代のこと、漢字という文字が入ってきた時代のこと、漢字を日本人が使う日本語、やまと言葉にいかに合うように苦心があったか……。 現代の日本語が成り立っている背景には、長い年月の日本人の苦心・工夫の上に成り立っていることがよく分かる。 内容もそれほど難しくなく、とてもお勧めできる書籍である。
2015/07/22
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