戦争童話集 (中公文庫 の 3-13)
戦争童話集 (中公文庫 の 3-13) / 感想・レビュー
Comit
図書館本~読友さんの『永遠の0』の感想を拝見した際に、紹介されていたので手に取った一冊です。戦争をテーマにした12の短編集。童話のような作りのものもあれば、史実かと見紛うようなお話もあります。戦争の悲惨さ、無意味さ、尊いはずの命が簡単に奪われる儚さ…読んでいて明るい「光」を感じることはありません。それが戦争なんですよね。読むことでしか、そう感じられない自分も戦争を知らない世代と痛感しました。「年老いた雌狼と女の子の話」「焼跡のお菓子の木」が印象的でした。『火垂るの墓』の著者さんです。
2020/12/05
Shoji
作家、芸能人、政治家と稀な才能を持つ野坂昭如氏。略歴では昭和5年生まれだから、終戦の年には15歳の立派な青年である。もう少し早く生まれていれば、カミカゼになっていたかも知れない。そんな氏の戦争実体験があるからこそ生まれた作品だと思うが、童話といえども、強いインパクトとメッセージ性を感じた。どのお話も心を打たれ、胸が熱くなった。良書だと思う。子どもやお母さんには何の罪もないのに、、、
2018/08/21
★YUKA★
どの話も『昭和二十年、八月十五日』から始まる。とても悲しい本でした。『小さい潜水艦に恋をしたでかすぎるクジラの話』が、とても印象に残っています。童話集というだけあって、語り口が柔らかですが、それがより一層悲しみを際立たせています。
2015/06/29
saga
■追悼■「昭和二十年、八月十五日」で書き起こされる12編の戦争のはなし。平易な文章を心掛けたとは著者のあとがきだが、大人のための戦争を忘れないメッセージが込められた小説だ。悲しい結末が多いのに、不思議に涙することなく読了。そういう意味で「童話」という表現は合っていて、カラリと乾いた悲劇に浸ることができた。他の著作も読んでみたい。
2015/12/14
メタボン
☆☆☆★ すべて「昭和二十年、八月十五日」から始まる短篇童話集。戦争が題材だけに悲惨で哀しい話ばかりだが、後世に伝えたいという作者の意志を強く感じるし、感受性が強い少年少女に是非読んでもらいたいと思う。絵本「猫は生きている」を想起させる「凧になったお母さん」が最も強く印象に残った。自分の身体中の水分を我が子に覆わせ守ろうとする母の思いがすごい。
2022/07/20
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