嗤う伊右衛門 (中公文庫 き 31-1)
嗤う伊右衛門 (中公文庫 き 31-1) / 感想・レビュー
しいたけ
誰かを恋うこと。自分の何物に代えてもその人の幸せをとること。痛みを喜んで引き受けること。清洌な思いは美醜を超える。どちらが歪んでいるのか、答えはため息とともに闇に吸い込まれていく。幸か不幸か、終盤までこの本のカラクリに気がつけなかった。それゆえのラストの驚愕。幾重にも重なった歪んだ愛。死せば蛆がわく人の身なればこそ、昇華する愛の美しさに涙する。圧巻。
2018/05/22
遥かなる想い
四谷怪談を基盤に著者独自の脚色を入れた 作品である。お岩と伊右衛門の人物造形が 面白い。 四谷怪談とは全く別の展開ではあるが、 ある意味著者らしい絢爛たる魍魎の世界を 楽しめる。やや伊右衛門のキャラが 弱いのが残念だが、漆黒の闇が染み渡る… 新四谷怪談作品だった。
2024/03/15
はらぺこ
確かに『四谷怪談』が極限の愛の物語になってたと思う。 伊右衛門とお岩さん、お岩さんと又左衛門、他の登場人物の組み合わせでも、もう少し会話や相談をしてれば違う結末になった気がする。
2013/09/11
たいぱぱ
誠実で真っ直ぐ過ぎる人間が陥る哀しみと狂気(純愛とも言えなくはない)。不誠実でサイコパスな人間が生き残る不条理。切なくて哀しくて憎くて、そして物語の世界に埋没していった。京極版「四谷怪談」と言われてるけど、そもそもお岩の物語をちゃんと知らないことに気付く。「番町皿屋敷」と近藤局長・・・混同していた。お岩が皿を数えると思ってた(笑)。京極さんの作品は数多く読んでないけれど、一番夢中(面白いというと語弊があるんで)になった。この世界観は暫く忘れそうにない。本当の「四谷怪談」もちゃんと読んでみたくなりました。
2020/05/14
Yuna Ioki☆
1349-45-6 ☆時代小説祭No.5☆ 再読。京極夏彦の世界にどっぷり浸る1冊。又市をもってしても悲劇は避けられなかった。
2016/04/03
感想・レビューをもっと見る