真夜中の太陽 (中公文庫 よ 36-1)
真夜中の太陽 (中公文庫 よ 36-1) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
2000年前後に、婦人誌に連載されていたエッセイをまとめたもの。編年体ではなく、中央公論の編集者の配列になるものだろう。ここに収められたエッセイは、ごく一部を除いて、いつもの米原万里さんのタッチとは大いに違っている。すなわち、正攻法で語る社会評論家としての彼女のもう一つの顔だ。したがって、お得意のアネクドートも影を潜めている。語られていることは極めて正しく、ごもっともである。日本社会の構造を正しく捉えてもいるだろう。書かれた当時のではなく、本質的な意味においてだ。でも、私たちはいつもの米原万里さんがいい。
2015/02/23
優希
20世紀から21世紀にかけて語られていました。多くの小話のような題材に驚かされます、米原さんが当時心配していた日常の行き詰まったことが的中しているというのが怖いですね。
2019/05/17
メタボン
☆☆☆☆ 何気ない日常や外国の小咄から始まったエッセイがいつの間にか舌鋒鋭い批評へと様変わり。米原さんの批評眼が良く、何かすっきりとした心持になる。また批評の背景に確固としたヒューマニズムがあるのが良い。
2018/12/12
おさむ
故・米原万里さんの20世紀末から21世紀にかけての時事エッセイ集。ロシア人には沢山の小話の引き出しがあるというが、通訳の米原さんも同じ。よくもまあこれだけのエピソードや笑い話を持っているものです。その本質は解説を書いてる佐高信氏も兜を脱ぐほどの「辛口」なのですが、視座は一般の弱者に立脚しています。「歴史のない国」アメリカが覇権を握った20世紀、朝鮮半島分断の原因をつくった日本、など冷徹な国際社会批評も健在です。ブックオフの108円本の掘り出し物でした。
2018/09/02
阿部義彦
米原万里さん没後10年を機に再版、いわゆる政治色の強い時評ですが、こんなに早くからキッパリと警鐘を鳴らしてたんだと今読み返しても、保険業界、地震予知、腐敗政治、今でもその根本は変わらずどころか益々悪化の道を走りアベノミクスのど阿呆振りにはもし生きていたら何と言うだろうかなあー、なんて考えてしまいました。その他「幼児に英語を学ばせる愚」と題して私の思う事をわかり易く言ってます。どんな外国語も母語以上に巧くなる事は絶対ない。日本語が下手な日本人は、それよりもさらに下手にしか英語もフランス語も身につかない。
2016/05/14
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