坊ちゃん忍者幕末見聞録 (中公文庫 お 64-1)
坊ちゃん忍者幕末見聞録 (中公文庫 お 64-1) / 感想・レビュー
おひゃべりのナオ@【花飛】ヤオイは三月の異名にあらず
元々は坊ちゃんの予定だったのだろうが、親譲おやゆずりの無鉄砲むてっぽうで損をしたらしい。漱石の坊ちゃんはその実能動的ではない、巻き込まれ体質だ、そもそも江戸っ子は野次馬はしても忍術は使わばいし、「ほんやら洞」に迷い込みはしない。最大の失敗は越後の笹飴に艮宮しなかったことであり下駄に化かしてもしょうがない。
2016/07/30
RIN
奥泉光版『坊ちゃん』。とはいえ、どこが坊ちゃん?なのだが、読み終えてみればやっぱり『坊ちゃん』だよね~(笑)的なトリビュート。何だろう。筋は全然違うのに、言葉の選択、登場人物たちの描写、やり取りが漱石を彷彿とさせるのだ。理屈っぽくて小難しい言葉を使いながら、軽妙洒脱。クスクス笑いながら楽しめる逸品。是非とも続編を読みたい。
2017/07/08
miroku
忍術を使えない忍者が医者の修業をするという、ゆる~い物語。『坊ちゃん』を意識した語り口がよくマッチしている。最後はスラップスティック気味に…、このあたり、まさか奥泉さん、面倒くさくなったんじゃあるまいな…。そんなこんなの全て含めて、なんか好き♪
2012/06/03
雨猫
奥泉氏は漱石の「坊ちゃん」を意識したらしいが「『吾輩は猫である』殺人事件」のようなパロディではない。奥泉流幕末譚。忍者修行に励む?松吉が尊王攘夷を目指す寅太朗について京へ上ってさあ大変!いつもの奥泉氏の筆が冴えわたる。登場人物が皆面白い。立派な人ではなく、気が小さく小狡く滑稽な人を描くのが本当に上手い。タイムスリップはなくても良かったと思うが「小説ならではの自由な時間処理」が大好きな筆者ならではか。真面目な歴史小説を期待する人にはオススメしないが痛快!☆4.2
2015/10/05
kk
漱石の『坊ちゃん』をモチーフにして、その文体も意識しながら綴られた幕末京都の青春物語。小狡いやつ、グーダラ者、ひたすら流される人の心根など、シビアだけどユーモラスな人間観察の視点と人物描写がとても好きです。幕末の話なのにエリック・ドルフィーを無理矢理持ち出してくるあたり、またしてもこの著者は自分の趣味で遊んでますね。やはり、奥泉光は天才です。
2021/08/13
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