自伝的女流文壇史 改版 (中公文庫 R 15)
自伝的女流文壇史 改版 (中公文庫 R 15) / 感想・レビュー
ヒロミ
センチメンタルな少女小説や通俗小説で名を馳せた吉屋信子がこんなにもするどい観察眼を持っていたとは!知らなかったことを恥じ入るばかり。彼女の人生で印象に残った女流作家たちを生き生きとした筆で描写している何とも面白い評伝集。岡本かの子の章、長谷川時雨の章、山田順子の章などなどどれも個性的。「女流文学者会挿話」での「女流文学者ばかりで集まって何がおもしろいのよ」「国防色のモンペなんてイヤー!」と言い放つ宇野千代があまりにも宇野千代らしくて笑った。吉屋先生の偏りのない視点もある意味特異。面白かったです。
2017/11/28
こうすけ
女流作家という言葉自体が絶滅しつつある昨今だが、大正・昭和初期の、あまりにマイノリティであるがゆえに女流作家であることにプライドを持っていた人たちの文壇史。吉屋信子が自らの見聞をもとにつづる。やっぱり真面目な人より狂ってる人の方が面白い。円地文子の話を読みたかった。
2024/11/11
よしだ まさし
吉屋信子『自伝的女流文壇史』中公文庫を読了。 著者が個人的に交流のあった女流作家たちの思い出を綴った随筆集で、結果として女流文壇側面史ともいうべき内容となっている。 描かれている女流作家は、田村俊子、岡本かの子、林芙美子、宮本百合子、三宅やす子、真杉静枝、長谷川時雨、矢田津世子、ささき・ふさ、山田順子。ほとんどは名前を知っているだけだったり、あるいは名前すらも知らなかった作家であったりする。それでいて、吉屋信子の筆にかかると、活き活きとそのキャラクターが浮き上がってきて、読んでいて飽きさせない。
2015/04/09
Gen Kato
再読。小説では理想的女性を清く正しく描くことの多かった吉屋信子先生。ここではけっこうモヤモヤ抱えちゃってます。いっそ思いきりよく「この女、最低。嫌い!」と書いちゃえばいいのに、そこが『花物語』『女人平家』『徳川の夫人たち』の先生ならではの美意識なのか。でも、ここで清くも正しくもなく描かれた田村俊子や岡本かの子、林芙美子、宇野千代は生き生きと魅力的。まあ、実際つき合うのはやめたほうがよさそうだけど。
2013/08/03
katta
☆☆☆☆☆ 戦前戦後を通して長く活躍した女流作家の私的交流記。今のように秘密主義でも個人主義でもないお互いの交流が気持ちよく描かれている。非常に面白かった。
2009/02/04
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