花 (中公文庫)
花 (中公文庫) / 感想・レビュー
うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
私生児として生まれ育った知華子は、同じように私生児として生まれ芸者をしていた母と、同じように芸者をしていた祖母に愛情が持てずにいた。そんなある日、祖母が亡くなったと母親から連絡があり・・。読友さんからご紹介いただいた本です。母娘3代に渡る物語でした。短いながらもその圧倒的な筆力にしばらくの間茫然としてしまいました。読了後に「花」というタイトルに込められた意味を改めて考えると感慨深いものがありました。良かったです!★★★★
2013/01/07
れお
再読。祖母と母は芸者で、その血を残す為に私生児を産む。大正から昭和の話しなので、自分ひとりでは生きて行けないと男性にすがって生きる。自分には考えられないけど、仕方なかったのかなと。自立する為に自分から芸者になった幸子みたいな人間は好き。
2015/02/07
ねこまんま
それぞれの時代を生きる三代の女の業、親子の軋轢と押し付けがましさなんかがとってもよく描かれています。 これって男性に理解されるのかなあ。 私は母になったことがないので、娘視点で共感するところがたくさんありました。 だけど、母や祖母の恋愛とか性なんかは知りたくはないなあ。
2014/01/15
re;
『この世の中には理不尽なことがいくらでもある。本当に正しいことなど何一つない。肝心なことは自分が何を正しいとして受け入れるか、それだけだ』貧しかった日本がそこにはあった。今とは全く趣の違う理の支配する時代の女たちの一つの形。描かれている時代は今とは違うけれど『生きる』ことの本質は変わらないと思った。『何をしてきたか、どうやって生きてきたか』これは自分自身にのみ響くもの。幸か不幸かも自分自身で決めればいい。誇示したり承認される必要なんてない。『ただ産まれ、生きた』それだけでもう充分に奇跡なんだ。
2015/11/10
だい
祖母と母。自分の生い立ちを思う時、彼女らとの血の繋がりを憎み嫌悪してきた知華子だったが、祖母の手記を読むことで自分がどれだけ愛されていたかを知る。言葉にできない程の不思議さと温かさを運んできて、心に沁みる。
2019/09/17
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