ロビンソンの家 (中公文庫 う 25-3)
ロビンソンの家 (中公文庫 う 25-3) / 感想・レビュー
piro
17歳の夏、リョウは高校を休学して「Rの家」へ。誰もいないはずの家には伯父の雅彦と従姉妹の李花が居り、3人の奇妙な同居生活が始まります。雅彦や李花らを通じ、12年前リョウの母順子が失踪した経緯が徐々に明らかになっていく様が秀逸。どこまでが事実でどこまでが作り話なのか、謎を残したままで読者に委ねる書き方もミステリー度合いを高めます。そして少し歪んだ性の描写も程よい甘美さ。切なさと甘さ、苦さが織り交ぜられ、期待以上に楽しめた一冊でした。
2020/05/06
90ac
「一九七二年のレニー・ラウ」の中の「ここから遠く離れて」で主人公吉田ヒロムが書いた小説に「裏切りの岬」という作品が出てくるがそれがこの「ロビンソンの家」ということらしい。読んだ本を引っ張り出して確認してみると確かに頷ける。初出時のタイトルは「ミセス・ロビンソンの家」となっている。リョウの母親:順子が映画「卒業」のミセス・ロビンソンの香りがする。しかしこの作品に出てくる女性はみな強い!母親:順子は弱いと思いきや最強だった。また男女の会話がキザだね。「レイニー・ラウ」もキザなセリフが多かったけど。
2011/11/28
nao.
伊坂さんのエッセイで薦めていた本、数冊読んだが初めて当たりが出ました!登場人物の淡々と感情を抑えた台詞、あぁ伊坂さん影響受けてるなぁとニヤニヤ。激しいぶつかり合いはないのに、人と人との関わりや結びつきを強烈に表現していて素晴らしい。
2014/09/08
えすと
素晴らしかった。秀逸。打海文三はニヒリズムに逃げないのが、偉い。
2012/10/17
Lc
伊坂さんのエッセイから。主人公が小さい頃、母親は建設直後の「Rの家」の側で自殺した。その母親の心境を追いかけていくのが主軸となっている。あらすじからは予想のつかない乾いた進行が最大の特徴。母親の死の真相に迫るのに、全く湿っぽさがない。主な登場人物が「親戚」と「愛人」でドロドロしそうなのに、非常に淡白な文章。
2012/09/17
感想・レビューをもっと見る